傷ついたシャネルのプライド、仁川空港撤退へ

ルイ・ヴィトンへの好待遇に反発

李富真ホテル新羅社長
 かつて「ルイ・ヴィトン」の世界初の空港出店などを達成し、勢いに乗っていた李富真(イ・ブジン)ホテル新羅社長は最近、相次ぐブランド撤退という壁に直面している。ルイ・ヴィトンに対する破格の高待遇に反発し、9日にグッチが仁川空港の新羅免税店から売り場2カ所を撤退させることを決めたのに続き、シャネルも突如撤退を表明したためだ。李社長は、李健煕(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長の長女に当たる。

 業界によると、シャネルは契約満了となる9月1日付で仁川空港の新羅免税店から撤退させると通告してきたという。シャネル側は「昨年から新羅免税店と手数料引き下げや売り場拡大などについて交渉してきたが、合意に至らなかった。契約を延長しない方針を固めた」と述べた。

 新羅免税店は「まだ確定していない」としているが、ブランドの出店契約は特別な理由がない限り自動延長されるのが一般的で、今回の通告は事実上の撤退決定と受け止められている。シャネル側は、新羅免税店から撤退しても、仁川空港内にある韓国観光公社の免税店では売り場の営業を続ける予定で、空港利用者の不便につながることはないとしている。

 シャネルが撤退を決めたのは、新羅免税店によるルイ・ヴィトンへの好待遇でプライドを傷つけられたためとみられる。新羅免税店はルイ・ヴィトンの誘致に当たり、空港で最も立地が良い27番、28番ゲートの間の約595平方メートルのスペースを単独で割り当てた。販売手数料も、他のブランドの30-40%に比べはるかに低い10-20%に設定されたという。

 これまでシャネルは、新羅免税店で最大の132.2平方メートルの売り場を構え、販売手数料が約20%という「最高待遇」を受けてきたが、ルイ・ヴィトンに対する好待遇でシャネルのプライドは踏みにじられた。このため、シャネルは新羅免税店に対し、単独の売り場スペースを提供するか、売り場面積を拡大することを要求。これに新羅免税店が難色を示したため、シャネルは既に秋、冬物の商品の発注を減らすなどして、秋口の撤退に向けた準備を進めていた。

 これに先立ち、グッチも手数料引き下げと売り場拡大などを求めたが、新羅免税店との交渉が決裂し、既に撤退を決定している。バーバリーは昨年初め、新羅免税店と手数料などの問題で対立し、空港とソウル市内にある同免税店の売り場3カ所の撤退を決め、既に一部撤退した。このほか、複数のブランドもルイ・ヴィトンに対する優遇に反発しており、さらに撤退が拡大する可能性がある。

 これまでブランドの誘致に相次いで成功し、ホテルのイメージ向上に努めてきた李社長にとっては、ブランドの相次ぐ撤退は痛手だ。フランスと韓国を行き来し、3年以上の努力の末にルイ・ヴィトンの誘致に成功したものの、他のブランドに瞬く間にそっぽを向かれてしまった。このほか、新羅ホテルのビュッフェレストランで韓国の伝統服、韓服の着た客が入店を拒否された騒動も重なり、李社長は受難続きとなっている。

崔宝允(チェ・ボユン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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