励起状態および基底状態の二準位からなる系について考える．この二準位系の吸収スペクトルは，ある有限の幅をもって広がっている．この広がりを均一広がりといい，その幅を均一幅という．電子が励起状態にあれば，ある有限の時間（これを励起状態の寿命という）で基底状態に遷移する．均一幅は，まずこの有限の寿命により生じる．また，二準位系が気体の場合，気体原子（分子）同士の衝突によって寿命が短くなれば，さらに広がる．結晶やガラスなどの固体中に二準位系（希土類イオン，遷移金属イオン，色素分子など）がある場合は，格子振動により二準位系の遷移周波数が変調を受けるため，均一幅が広がる．均一幅を求める方法に，ホールバーニングがある．均一幅 は，フォトンエコー等で求まる位相緩和時間 と， の関係にある．（矢野隆治）