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【社会】

名古屋テレビ塔、解体の危機 来月“勇退”、改修費 めど立たず

2011年6月27日 09時51分

 名古屋市の久屋大通公園に立つ名古屋テレビ塔は、7月24日の地上デジタル放送への完全移行で電波塔の役割を終える。テレビ塔会社は観光施設として存続を目指すが、多額の改修費がネックで、計画は進んでいない。街のシンボルが解体撤去される最悪のシナリオも排除できず、再生への青写真は描けていない。

 デジタル放送の開始で電波塔の役目は瀬戸デジタルタワー(愛知県瀬戸市)に移る。

 テレビ塔会社は3月、アナログ放送機器の撤去で生まれるスペースを飲食や物販などの施設に改装し、2013年からリニューアルする基本計画を策定。事業費35億円のうち耐震改修費の15億円は「民間での資金調達は限界」と出資者の市と愛知県に公的支援を求めた。

 しかし市は「税金投入には幅広い市民の理解が必要」と回答を保留。今月16日の会社役員会では、年内をめどに市の方針をまとめるとして、今夏の着工を想定していた基本計画の延期と規模の見直しを求めた。テレビ塔会社は収入の3割をテレビ局からのアナログ放送機器設置料に頼り、放送終了で収益の柱を失う。若山宏常務は「電波塔としての経営モデルがなくなる以上、行政や市民の支えがなければ存続は難しく、解体もあり得る」と危機感を募らす。

 名古屋市も税収が伸び悩む中、多額の公的支援はハードルが高い。保存を望む市民の声が大きくならない限り、思い切った決断はできないのが実情だ。市文化観光部の担当者は「存続かどうかは最終的には市民の判断。今後、アンケートなどで市民の意見を把握していきたい」と話す。

 1カ月後に迫ったアナログ放送の終了後も当面は現在のテナント体制で営業を続けるが、長期的には耐震改修を含めた改装が不可欠。「あって当たり前の空気のような存在」(若山常務)のテレビ塔を今後どうすべきか、市民を巻き込んだ議論が必要となりそうだ。

 <名古屋テレビ塔> 日本初の集約電波塔として1954(昭和29)年6月完成。高さ180メートル。後に東京タワー(58年完成)を手掛けた工学博士の故内藤多仲(たちゅう)氏が設計した。愛知県と名古屋市が25%ずつ出資する第三セクター「名古屋テレビ塔」が運営し、東海3県にNHKと民放3局のアナログ放送電波を発信している。地上デジタル放送への完全移行で、7月24日正午に電波を止める。

(中日新聞)

 

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