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<<   作成日時 : 2011/05/01 16:04   >>

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いま私達が使っているのはアメリカから無償提供されたiRobot。
多くはネットで情報が出ているので、もう紹介しても問題なかろう。

無償提供されているのは本体とコントローラー関係の一式だけです。
私達のニーズに合わせて、カスタマイズ(改造)を施してあります。
カスタムパーツは有償です。
ちなみにグラップルの先端部分だけで約10万円だそうです。

2台を2社共同作業で行っています。
必ず2台で対となり、万一1台に何か問題があれば、もう1台でサポートするのです。
以前搭載カメラは2台と書きましたが、1台は5台、1台は4台搭載しています。
それぞれ搭載している装置も違います。
カメラを5台搭載している物には、線量計×4台を搭載しています。
カメラを4台搭載している物には、線量計×1台・ダストサンプラー(汚染濃度を測る)・赤外線サーモカメラ・ガス検知器(酸素濃度・有機ガス濃度・可燃性ガス濃度)を搭載しています。

本体重量は1台約40kg。
一人で何とか持てますが、基本的には二人で持ち運びします。
でも、何だカンだ、この有事の際は2社共同作業です。
この際、会社の垣根は関係有りません!(現場はね…

バッテリーがフル充電だと、概ね4時間は余裕を持って作業が出来ます。
防水・防爆構造なので、有線にすれば水深3mまでは潜水出来るそうですが、今のところ潜水はさせていません。
本体内部や駆動部は防爆構造なのですが、アームやシャーシは金属なので、完全防爆仕様ではありませんから、可燃性ガス(水素)が検知されれば作業は中止です。
可燃性ガスは、そのガスの性質によって爆発限界値があるので、薄くても濃すぎても爆発しない…つまり、すぐには爆発しません。
要は燃焼を助長させる酸素との濃度割合によるのです。

GPSとジャイロシステムを搭載しており、東西南北の方位(実際には英語表示なのでNWSE表示)や本体の姿勢をPC画面に表示できます。
GPS電波が届く屋外で本体の電源を入れて建屋内に運び込みますが、建屋内をあっちこっち動き回っている内に、方位は狂ってしまいます。
方位はアテに出来ませんが、ジャイロによる姿勢表示は凄く役に立ちます。
ちょっとでもいずれかに斜めになれば、その傾斜の大きさに比例して姿勢が3DでPC画面に表示されます。
3Dと言っても、飛び出す3Dではなく…
仮にひっくり返れば、ひっくり返って表示されます。
また、各パーツ(装備)が、今どの様になっているのかも3Dで表示されています。

現在採用しているアメリカ製ロボットは、他にもう1台有りますが、大きくて狭い建屋内には入れないので、使用していません(QinetQ社製のTalon)。
あまり小さ過ぎても、重い防護扉(鉄扉)を開ける事が出来ないので、小さくて軽いのも意味が有りません。
鉄扉の重量に負けない自重が、ある程度は必要なのです。

瓦礫も研究室の様な整った物ではないので、クローラー(キャタピラ)が浮いて亀の子状態になってしまう事もあります。
そんな時は、フリッパー(補助クローラー)を下げて、四輪みたいにして脱出します。
その点に関しては、千葉工業大学で開発した国産ロボット(Quince)の方が走破性が良いとされています。
ただ、カスタムパーツの搭載性や、自重の面でどうなんでしょうね…。

搭載カメラの映像を見ながら操作します。
電力会社の社員は本店の方達なので、現場の構造を良く知りません。
閉ざされた場所ですので、現場慣れしていない人は、東西南北さえ見失ってしまいます。
しかし、私達オペレーター(私と放射線管理担当者を含めて2社で8〜10名)は、現場の構造は全て頭に入っています。
無数にある配管類も、だいたい場所を把握しています。
平面図だけで話をする時も、概ね現場の構造が頭に浮かびます。
電力会社の社員が、
「こういう感じの…」
と言っても、私達作業員は、
「ああ、○○ね」
と専門的に分かります。
(時に、それで臍を曲げられる事もある…)

オペレーターの後輩は、4月23日に挙式予定でした。
私も彼が入社した時からのOJT担当だったので、呼ばれていたのですが…。
雑談の中でそれを知った電力会社社員(本店勤務者)は、驚いていました。
私達は私情は話しませんが、10名全員が警戒区域の中に家が有り、私の様に津波で家を流失した者もいます。
「津波で家が全壊・流失した」
「身内の者が行方不明で見付かっていない」

等と話せば、驚かれるかも知れませんね。
住んでいる地域が違うと、それだけ今回の震災に対する個人的な受け留め方が違うのです。
(だから、せめて命令口調はやめて欲しいんだけどな…)

搭載カメラも、線量が1,000mSv/h(1.0Sv/h)に達すると、チラチラと電気的ノイズが入ります。
放射線も電離作用が有りますからね。
これはカメラが拾っているのです。
日頃の仕事(炉内作業)で水中作業で用いる水中カメラでも同様のノイズが出るので、何ら珍しい事ではありませんし、驚く事もないですね。
当然、無線操縦の電波も減衰します。
PC画面に、通信状態を示すレベルが表示されています。
通信が途切れるとロボットが戻って来れなくなるので、安全サイドで作業をします(無理をしない)。

1,000mSv/h超えも、実は通常の業務外で偶然見付けたのです。
本来の業務が終了、ロボットを戻す際でした。
当日のオペだった後輩(4月23日に挙式予定だった後輩)が、
「SHさん、この先は何があるんですか?」
と聞くので、
「シャットダウンポンプ室だよ」
と教えてあげました。
シャットダウンポンプ…正式にはシャットダウンクーリングポンプ(通称SHCポンプ)です。
日本語で書けば、原子炉停止時冷却系。
1号機は原子炉の型式が古くて他号機とは違うので、残留熱除去系(RHR・RHRS)が無いのです。
SHCは、RHRと同じシステムです。
「バッテリー容量も有るし、電波状況も良いし、作業時間にも余裕が有るから、行ってみるか?せまいけどね…」
と私。
他のオペ達も、
「んだな。狭め〜けど、腕試しに行ってみ!」
と。
行ったら、
「SHさん、線量がどんどん上がっています。3桁になりました。700…800…900…1.2???。あ!単位が変わりました。ミリが消えました!」
と後輩が叫ぶ。
「何だ!?お化けがいんだかなぁ〜???」
と私。
他のオペ達も、
「何かあんだべか…???」
と。
そう、私達は高線量の事をお化けと昔っから呼ぶのです。
だって、目に見えないんですもん…
「あそこはお化けが居るから注意しろよ」
とか、
「お化けが移動した」
とか。

SHCポンプ室の鉄扉を開けましたが、本来は90°開くところが45°ぐらいしか開きません。
カメラで覗いてみると、何かが倒れている(落ちている?)ので、開かない様でした。
カメラの角度が入らず、何なのか???は良く見えませんでした。
無理をすればロボットは入れましたが、無理は禁物!
バックした所で撮影した静止画がテレビに出た訳です。
SHCポンプ室の奥は、MSIV外弁室(タービン側に行っている主蒸気隔離弁の外弁室)がありますが、そこまではロボットが行けません。

29日も同じ場所を探査しましたが、線量は変わりませんでした。
見える範囲では、水漏れ等は見当たりませんでした。
そんな偶然から、お化け屋敷を見付けたんですよ

ちなみに、テレビで公開される動画。
原画がYouTubeに出ていますね。
音声は消されていますが。
当社や、もう1社の人がアップしているとは考えられないので(事実上不可能です)、電力会社の方でアップしているのかなぁ〜???
私もチラホラテレビに映っています。
足だけとか、全面マスクの一部とか…
撮影しているのは、電力会社ではなくて、もう1社のオペの方(作業員)です。
データーはそのまま電力会社へ渡していますが。

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