“法の番人”という志を捨てた検察の闇
【書籍・書評】
2010年8月23日 掲載
●「検察の大罪」三井環著(講談社 1500円)
法の番人、正義の味方というのが検察官の理想像。しかしこのイメージはいまや汚辱にまみれた。約10年前、著者が行った検察内部の「機密費」という名目での裏金工作への内部告発に対して、時の検事総長が小泉政権にすりよって癒着したのだ。結局、著者は大阪高検の公安部長という要職についたまま逮捕され、実刑判決を受けて2年間服役した。
その間、検察はまるで坂道を転がり落ちるように強引な逮捕に明け暮れ、鈴木宗男、佐藤優、村岡兼造、堀江貴文、そして最近の小沢一郎や厚労省・村木厚子局長までを次々に槍玉に挙げてきたのである。自民党政権と結びついて志を捨てた検察。そこには「選挙に影響を与える捜査はしない」ことを鉄則とする法務検察の中立公正性は存在しない。
橋本龍太郎、野中広務、青木幹雄らが不起訴となった日歯連事件と、公設秘書らの逮捕から検察審査会まで動かし、あくまで執拗に食い下がる小沢の西松建設事件との違いはあまりにも明らか。迫力に満ちた著者の筆ににじむ無念は深い。
法の番人、正義の味方というのが検察官の理想像。しかしこのイメージはいまや汚辱にまみれた。約10年前、著者が行った検察内部の「機密費」という名目での裏金工作への内部告発に対して、時の検事総長が小泉政権にすりよって癒着したのだ。結局、著者は大阪高検の公安部長という要職についたまま逮捕され、実刑判決を受けて2年間服役した。
その間、検察はまるで坂道を転がり落ちるように強引な逮捕に明け暮れ、鈴木宗男、佐藤優、村岡兼造、堀江貴文、そして最近の小沢一郎や厚労省・村木厚子局長までを次々に槍玉に挙げてきたのである。自民党政権と結びついて志を捨てた検察。そこには「選挙に影響を与える捜査はしない」ことを鉄則とする法務検察の中立公正性は存在しない。
橋本龍太郎、野中広務、青木幹雄らが不起訴となった日歯連事件と、公設秘書らの逮捕から検察審査会まで動かし、あくまで執拗に食い下がる小沢の西松建設事件との違いはあまりにも明らか。迫力に満ちた著者の筆ににじむ無念は深い。