2011年6月27日8時1分
栃木・群馬両県南部の半径10キロの範囲内で起きて未解決となっている、五つの女児殺害・失踪事件の被害者家族が、事件の真相究明を求めて29日に家族会を立ち上げる。
中野寛成・国家公安委員長が3月に「(5事件の)関連性を否定せずに捜査に当たるべきだ」と国会答弁したのがきっかけ。菅家利和さんが再審無罪となった今も真犯人が見つかっていない足利事件の被害者、松田真実(まみ)ちゃん(当時4)の家族も加わる。
会として力を合わせて、捜査当局に遺留品の再鑑定や、時効の壁がない失踪事件の捜査からの全件解明を求めていくという。
会は、真実ちゃんと福島万弥(まや)ちゃん(当時5)、長谷部有美(ゆみ)ちゃん(当時5)、大沢朋子(ともこ)ちゃん(当時8)、横山ゆかりちゃん(失踪当時4)の家族でつくる。
真実ちゃんたちは、1979〜96年にかけて、栃木県足利市や群馬県太田市周辺で遺体で見つかったり、連れ去られて行方がわからなくなったりした。
五つの家族が結束したのは、中野国家公安委員長と菅直人首相の3月の参院予算委員会での発言を受けてだ。菅首相は、「冤罪(えんざい)事件であり、その後も類似の事件が続いていることを考えると、同種類の事件を防ぐ意味からも、しっかり対応することが警察でも必要だ」と述べた。
こうした発言に、今年7月で行方が分からなくなって15年になるゆかりちゃんの父親、横山保雄さん(44)が「国が同一犯の可能性が高いと認めたのならば、再捜査をお願いしたい」と反応。他の4家族に「すべての家族がスクラムを組んで動いたら何とかなるかもしれない」と手紙で呼びかけた。
四つの殺害事件はすでに時効だが、万弥ちゃんの父親、福島譲さん(57)は、「心情的に時効はない。家族が団結すればひょっとしたら捜査が前に進むかもしれない」と会に参加する理由を語る。
朋子ちゃんの父親の大沢忠吾さん(65)は、「ゆかりちゃん事件は時効がない。それを突破口に真実を知りたい」と話している。