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自慢のあられ守る 亘理の菓子製造販売会社

「みやこがねもち」の田植えをする定克さん(左)と亮平さん=6日、亘理町逢隈

 地元産もち米を使ったあられが売り物の宮城県亘理町逢隈の菓子製造販売「みやぎのあられ」(石田定克社長)が、東日本大震災の影響でもち米の在庫が不足する中、何とかして看板商品の品質を維持しようと工夫を重ねている。
 あられは、すべて町内で収穫された県の奨励品種「みやこがねもち」を使用。年間約6トンが必要で、40アールの自作田での収穫に加え、町内の農家約10戸から分けてもらってきた。
 幸い、自作田は無事で先日、例年より20日ほど遅い田植えを行ったが、町内では作付けできない水田が8割に上る。大口の農家の保管庫にあったもち米が津波で浸水し、在庫はピンチだ。
 味付けを一切せず、コメの風味にこだわった看板商品の「素焼みやこがね」だけは、在庫の亘理町産で何とか賄っていく考えだが、この夏以降は町外産を導入せざるを得なくなりそうだという。
 県北産の「みやこがねもち」を使って現在、試作を重ねている。定克さんは「コシや水分量が異なる。作り慣れた地元産が一番だが、この状況では仕方がない」と言う。
 確保が難しいのは、もち米だけではない。会社を手伝う長男の亮平さん(28)は「松島産のノリも、もう少しで無くなる。三陸のホヤを使ったあられは、しばらく無理だろう」と厳しい表情。
 亮平さんは震災後に初めて東京に出向き、物産展に加わった。必死に販売を続ける中で、あられを通じて地元の食材の大切さを知ってもらえることに気付いた。
 秋以降も材料の確保には苦労することになりそうだが、亮平さんは「自分たちにできるのは、地元に根差した商品を作り続けること。それで少しでも地域に貢献できたら」と前向きに話す。


2011年06月26日日曜日


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