東日本大震災についてシンガポールから日本のためにできること

ニュース

シンガポール日系企業の予測昇給率は4%前後――JCCI調査

シンガポール2011年06月24日 07:16
シンガポール日系企業の予測昇給率は4%前後――JCCI調査

シンガポール日本商工会議所(JCCI)は、6月21日、「2011年NWCガイドライン説明会」ならびに「2011年賃金調査結果報告会」をマリーナ・マンダリン・シンガポールにて開催した。


政府・労働者・使用者の各代表による評議会National Wages Council(NWC)では、毎年4月頃に数回にわたって会議を行い、前年の経済成長率や消費者物価、労働生産性といった経済に関する基礎データに基づいた意見交換や議論を通じて、来る1年間の賃金ガイドラインを作成している。会議には米国、ドイツ、日本、中国、インド各国の商工会議所も参加している。ガイドラインは原案が内閣へ提出された後、内容が承認されて正式発表となるが、今年は総選挙の投票日直前に発表され、例年以上に注目を集めた。


説明会では、ガイドライン策定にあたって使用された基礎データや議論の経緯について、JCCI副会頭で賃金調査委員長を務める日下清文氏が説明。昨年の「継続的な賃金の改善」から「高い昇給率」と大きく踏み込んだ表現に変わった点など、ガイドラインにおいて提言された内容のポイントを解説した。


企業業績にそった弾力的な賃金体系にするための制度であるMonthly Variable Component(MVC、月ベース賃金調整枠)については、JCCI監事で賃金調査委員の岡田昌光氏が説明。MVCの背景や労使双方にとっての利点、MVC枠作りの例、導入する上での注意点、発動のタイミングなどを解説した。


20110624_jcci_02.jpg
同じくJCCI賃金調査委員の荒屋隆氏がシンガポールの労働力事情について説明。MOMの最新統計を元に、2010年のシンガポールの労働市場や2011年第1四半期の雇用情勢について解説した。Sパスおよびワークパーミット保持者を雇用する企業が支払うLEVY(人頭税)が今年7月からの2年間で半年ごとに段階的に引き上げられることについて、氏は「生産性向上のためであり、人件費の安い外国人に頼らないという示唆であろう」と述べた。


JCCIでは会員企業を対象に毎年賃金調査を実施しているが、今年の結果についてJCCI事務局長の東潤一氏が報告。659社中293社から得られた回答を元に分析した結果、2011年の予測昇給率の全体平均は3.96%で、昨年の昇給率平均3.59%を上回る予測となった。2010年のボーナス実績は管理者層で2.95ヵ月、非管理者層で2.68ヵ月。2011年の見通しはそれぞれ2.93ヵ月、2.72ヵ月で、約半数の企業が「昨年実績と同じ」との見通しを示した。景気動向については、2011年前半は東日本大震災の影響もあり、前年比横ばい、あるいはやや悪化と見る企業が半数を占めたが、2012年前半には改善すると見る企業が約半数を占めた。調査結果は冊子にまとめられて販売される(会員$30、非会員$100)。

関連記事

by weblio


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

コメント

この記事に関するコメントを投稿

ページの先頭に戻る