名古屋グランパスは26日、GK楢崎正剛(35)が左手小指第1関節の開放性脱臼(骨がむき出しになる脱臼)で全治4週間と診断されたことを発表した。楢崎は25日の浦和戦(豊田ス)で相手のシュートを防いだ際に負傷し交代、愛知県豊田市内の病院で検査を受けていた。この日、同市のトヨタスポーツセンターで治療した楢崎は骨折していなかったことを前向きに受け止めて早期復帰を目指す。
同点弾を阻止した超人的なセーブの代償は、小さくはなかった。
「軽い脱臼はあるけど、こんなのは初めて」と楢崎は包帯で固定された左手をさすりながら言う。浦和戦の後半、原が約2メートルの至近距離から放った強シュートは、小指1本で防いだ。ボールは、ほぼ真上に上がって外れ、相当な負荷が掛かっていたことが症状にも表れた。小指の先が曲がり、第1関節から骨がむき出していたという。
交代直後に運ばれた病院で、ロスタイムに追いつかれて引き分けたことを知った。携帯電話で速報をチェックし「後半49分でも試合が終わっていなかったから、オレのこと(負傷)もあって、長引いてるんやなあと思ってたら」と、微妙な判定でPKを取られた不運を嘆いた。
昨年JリーグMVPに選ばれた守護神の不在は大きな痛手になるが、長期離脱は避けられた。「骨折していなくて、まだ良かった」。診断の通り全治4週間なら、復帰は7月23日の広島戦で4試合欠場。少なくとも骨が飛び出した傷口が治るのを待たなければいけないが「小指の先なら固定しやすいところだから、確実に保護できるなら、もう少し早く復帰できるかもしれない」とクラブスタッフは期待する。7月17日の山形戦復帰なら、3試合の欠場で済み、残り試合は全34試合中の19試合。首位・柏に勝ち点8差をつけられているが、差を詰めるには十分な時間がある。
決定的なダメージは受けずに胸をなで下ろす楢崎。クラブハウスでの治療後は、ピッチに出て後を託すGK高木らと談笑し、明るく振る舞っていた。 (木本邦彦)
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