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きょうのコラム「時鐘」 2011年6月27日
梅雨だというのに、ゲリラ豪雨と猛暑である。アジサイをぬらしてしとしと降り続く風情は、どこへいってしまったのだろう
四季が規則正しく巡るという「歳時記」の看板が怪しくなってくる。季節の歩みは土地によって違う。この地には「北陸歳時記」がある。加えて、地球環境がどうにかなって、四季もおかしくなったのか 「青蛙(あおがえる)おのれもペンキぬりたてか芥川龍之介」という句を教わった。梅雨のゆううつをしばし忘れる愉快な句。もっとも、昨今の豪雨にはカエルも退散する。ペンキもすぐに乾くから、「塗り立て注意」のおかしみも薄れる 時代によって句の味わいは変わる。別の愉快な句。「梅雨続く小錦十人いるような坪内稔典」。巨漢力士を知る人は、ニヤリとさせられる。知らない世代には謎の句にしか映るまい。さしずめ、賞味期限付きの名句か うっとうしい人は、ほかにもいる。試みに、「顔も見たくない」時の人の名を「小錦」の代わりに詠んでみる。ピタリとはまりすぎて、何のおかしみも余韻もない。首相まで居座るおかしな梅雨は、いつになったら明けるのだろう。 |