現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. その他・話題
  5. 記事

東北大総長また論文二重投稿 学士院賞受賞業績取り消し

2011年6月25日15時1分

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 東北大学の井上明久総長が新たに論文2本を二重投稿していたことがわかり、それぞれの論文が取り消された。二重投稿は研究者倫理や著作権法に反する研究不正。論文の一つは、井上総長が2002年に日本学士院賞を受けた際、主な業績に挙げられていた。

 井上総長は、ふつうの合金より強くさびにくい新素材「金属ガラス」研究の世界的権威。取り消された2論文も金属ガラスの特性に関するものだ。

 学士院賞の根拠になった論文は、応用物理の米学術誌「アプライド・フィジックス・レターズ(APL)」に1999年10月7日に投稿され、00年2月に掲載された。

 ところが「材料工学の国際会議の議事録に、同じ内容の論文がAPLより先に投稿されている」との情報が最近、APL編集部に寄せられた。論文の文面やグラフ・写真が極めて似ており、編集部は二重投稿と断定。日本時間の今月25日未明、APLの電子版で論文の取り消しが公告された。

 さらに、日本の粉体粉末冶金(やきん)協会の学術誌に03年に掲載された井上総長らの論文とほぼ同一内容の論文が、同時期に米国の学術誌にも掲載されていたことも分かった。同協会は最新号で論文を取り消した。

 編集委員長の吉村一良・京都大理学研究科教授は「二重投稿は言語道断だが、著者が謝罪し、論文が取り消しになったことで、処罰を受けたと判断している」と話す。

 井上総長の研究グループは、昨年11月にも論文の二重投稿が発覚。これを受けて東北大は、調査委員会を設け、二重投稿防止の指針作りを検討している。

 井上総長は朝日新聞に対し「調査委員会の調査手続き以外で私的な見解を表明することは差し控える」とのコメントを寄せた。(斎藤義浩)

PR情報
検索フォーム

おすすめリンク

震災前には気づいていなかった…。3・11後、気持ちをカタチに変えた男女の心理を追う。

晩年を新パートナーと共に。そこには、若い男女とは違う人生観があり、健康や性の悩みがある。

「3・11」被災直後の言論空間を観察した筆者は、識者や専門家がマスメディアを通さず発言する事態に着目する。


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介