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ネコの島 復興招いて 漁業再生へ「にゃんこ基金」
 | 島の再生に一役買うことになった田代島のネコたち=4日、石巻 |
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人よりネコの数が多い「ネコの島」として知られる宮城県石巻市の田代島では、東日本大震災による定期船の減便や断水などの影響で、観光客が激減している。島のネコはほとんど津波の被害を受けず、全国から届く支援の餌に支えられて元気いっぱい。ネコをシンボルに島の復興と漁業再生を図ろうと、被災したカキ養殖漁業者らが立ち上がり、漁業復興基金を創設した。
石巻から定期船で約1時間20分。田代島の二斗田漁港に降りると、崩れた建物やがれきの間からネコが次々と現れた。集落をのんびりと歩く姿も目立つ。 「津波に流されたネコは少ない。地震で逃げ散ったが、間もなく帰ってきた」と話すのは、定期船会社の従業員寮で働く畠山和子さん(72)。30年以上、島のネコに餌を与えている。震災前に島を訪れた愛猫家らも、自宅にキャットフードを送ってくる。 田代島は人口100人足らずの小さな島だが、テレビ局が2006年に制作したDVDでネコの島として取り上げられ、全国的に有名になった。 島は津波で港湾施設やライフラインが打撃を受け、カキ養殖施設や加工場に大きな被害を受けた。 島の再生に「ネコの手」を借りようと、漁業者ら7人が今月設立した基金が「田代島にゃんこ・ザ・プロジェクト」。島内の民宿のホームページなどで情報発信し、1口1万円で出資を募っている。 集まった資金の1割を島のネコの餌代に活用。9割は養殖業の資材購入資金や加工場の再建費用などに充てる仕組みだ。出資者には、ネコをモチーフにしたポーチなどのグッズや3、4年後に収穫されるカキが贈られる。出資金は既に3000万円以上となり滑り出しは上々。1億5000万円が目標だという。 プロジェクト代表の尾形千賀保さん(56)は「たくさんの人が応援してくれている。一日も早く恩返しがしたい」とネコの島の復興に燃えている。
2011年06月25日土曜日
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