これは、今からずっと昔の話だった。大きな森があって、その森の向こうには、大きなお城があった。 とても自然が豊かで、いつも鳥ポケモン達がさえずり、花も沢山咲き乱れていた。壮大な森の中にあるその場所は、とても綺麗な景色だった。 そしてその大きなお城の中には、とても美しいリーフィア(♀)の「フラワー」が住んでいたのだった。 フラワーという名のリーフィアは、いつもお城のベランダから外の景色を眺めていたのだった。そして鳥ポケモン達とお話したり、ベランダに植えられている花に水をやったりしていたのだった。 そしてフラワーは、お城のベランダから外の景色を見つめると、あの木々や森も、なんて素晴らしい・・・と思い、ずっと見つめていたのだった。 とはいっても、フラワーはお城の中では姫だったので、お城の外に出る事を厳しく禁止されていたのだった。 ずっとお城の中で毎日を過ごすフラワーは、生まれてからほとんど外に出た事がなかった。なのでとても外の世界に憧れていたのだった。 心地良い風を浴びながら、フラワーはベランダから外の木々をずっと見つめていた。あの森の中で駆け回って遊んだら、楽しいんだろうな。 花もいっぱい咲いてて・・・鳥ポケモン達も飛び回っているだろうし。行ってみたいな・・・でも・・・と、フラワーの目から涙がこぼれた。 鳥ポケモンのペラップが飛んで来た。「ドーシタデスカ?ナンデナイテルデスカ?」「・・・うぅん、なんでもないの。ちょっと目にゴミが入っただけ・・・」と、フラワーは泣いていた事を隠そうと苦笑した。 「・・・でも、鳥ポケモン達はいいわねぇ、自由に飛び回れて・・・」とフラワーがペラップを見つめて言うと、「・・・?ソーデスカ・・・」と、よくわからないきょとんとした感じで、ペラップは飛んで行ってしまった・・・。 はぁっ・・・と、フラワーは手すりに寄りかかると溜め息をついた。もう嫌になっちゃったのよね、こういう生活・・・と心の中で思った。 するとフラワーはふと、ベランダの下の方に、何か・・・ポケモンの影がいるのに気がついた。見るからに、イーブイ系のポケモンだろう。 そこにいたのは、1匹のグレイシア(♂)だった。「・・・貴方・・・誰?」フラワーは不思議そうに尋ねた。 どうやらそのグレイシアは、アイスウォーターという名前らしい。フラワーに一目惚れしてしまったそうで、以前からこのお城には来ていたと言う。 そしてアイスウォーターとフラワーは、ベランダで色々と語り合ううちに、とても仲良くなった。毎日会っているうちに、フラワーは恋をしてしまったのだった。 「ねぇ、いつも下の方にいたらつまんないでしょう?ベランダに上がって、此処でお話しましょうよ。私の部屋に来たらいいわ」とフラワーは言って、ロープを下に降ろした。 アイスウォーターはロープをつたってベランダに上がった。すると・・・「おい、何か声がするぞ!ベランダの方だ・・・行ってみろ!」と声がしたのだった。 「・・・やばいわ!お城の兵が来たのかも・・・!どうしよう、隠れてっ・・・!」フラワーは必死で呼びかけるが、もう遅かったのだった。 ベランダに現れた見張り番のポケモン達は「誰かいるぞっ・・・侵入者だっ・・・捕えろっ・・・!」と叫ぶと、一瞬の出来事だった。 アイスウォーターを捕らえると、縄で縛り上げた。「何するのっ・・・やめてぇっ・・・!!!」フラワーは泣き叫ぶが、聞き入れてもらえなかった。 「おい、こいつを地下牢に入れておけ!」「はいっ・・・」と、見張りのポケモン達は、アイスウォーターを連れて行ってしまった。 「・・・・・。」残されたフラワーは、涙を流しながらその場に泣き崩れたのだった・・・・・。 ・・・そして、その夜。お城の地下牢に、フラワーが現れた。見張り番のポケモンは、夜中だったので今は眠っているようだった。 フラワーは地下牢に鍵を入れると、扉を開いた。そして、牢の中にいるアイスウォーターを見つけたのだった・・・!!! 「・・・君、なんで此処に・・・」「シーッ。今のうちに、逃げてっ・・・見張りのポケモンは寝てるから、起こさないようにねっ・・・」 とフラワーが囁くと「・・・わかったよ。それじゃあ・・・」と、アイスウォーターは地下牢から逃げ出して行ったのだった。 「良かったわ・・・これで、彼を助けられたわ。どうか、ご無事で・・・」と、フラワーは微笑んだのだった・・・・・。 -------------------------------------------------------------------------------- これは随分前に絵本用のシナリオとして書いたものです が、ボツにしてしまったので、また同じ内容を書き直し ました。 |