北秋田市の地域の医療を守る住民の会などでつくる「北秋田地域医療実態調査団」(団長=牧野忠康・日本福祉大大学院教授)は25日、同市の森吉コミュニティセンターで開かれた調査報告集会で最終結果を公表した。報告書は、市が10年8月に策定した「新医療整備基本構想」を早急に見直し、地域医療計画を再検討するよう求めている。
同市は、公立米内沢総合病院を4月から無床の市立診療所とし、10年4月に開業した北秋田市民病院に療養病床の集約化を図るなど、市民病院を地域医療の拠点にすることを目指している。
調査団は2月28日~3月2日、北秋田地域の社会福祉関係機関や施設、住民らの聞き取り調査を実施し、51件の回答を得た。
その結果、市民病院は医師不足や立地の選択ミスなどで拠点病院として機能しておらず、アクセスや医療サービス提供面などで患者が市外に流出していると指摘。さらに相当な病院赤字が見込まれるという。
そのため、既存の他の施設と人材を生かして、地域医療計画を見直し、現実的なグランドデザインを描き出すのが最も近道と結論付けている。
調査団は、調査結果をまとめた提言書を市に提出する。牧野教授は「不安や不満が多く、もう一度仕切り直しし、地域医療を考える必要がある」と強調した。【田村彦志】
毎日新聞 2011年6月26日 地方版