(cache) LIBIDOS　-催眠、洗脳、MC(Mind Control)-　ブログ小悪魔リンス　キャンパスリグレット　序章⑤

2011 . 05 «
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
» 2011 . 07

小悪魔リンス　キャンパスリグレット　序章⑤

俺のした事が、そんなにいけない事だったのであろうか。横の二人の女、紗名と美左子は本当にひどい奴らだと思う。あいつら、悪魔にでも魂を売っているのではないか。でも、若葉のあのお辞儀は、何だったのだろうか。少しは悪いと思ってくれたのかもしれない。最初俺は、食事ものどを通らず、体の震えが止まらなかった。一日、一日と日が立つにつれ、徐々に体が動くようになり、色々考える事ができるようになっていた。両親は無理して、俺に一人暮らしをさせてくれている。このまま学校に行かずに、引きこもっている訳にはいかない。ちゃんと卒業して、そこそこの会社に入らなければならない。

俺はその次の日、学校に行く事にした。しかし、この日は間が悪い事に、例の専門授業の日だった。紗名と美佐子はともかく、若葉は少し、声をかけたりしてくれるのではないか。俺はまだ、そんな淡い期待を抱いていた。教室の扉の前まで来たとき、随分、盛り上がっている話し声が聞こえた。
紗名「・・・それで『ナテマシ』がさぁ・・。」
紗名の声が聞こえる。俺は教室の扉を開けた。すると、いままで盛り上がっていた生徒たちの声が一瞬静まり返った。一体何だというのだ。まあ、俺は気にしない。勝手にすればよい。俺はつとめて平静を装った。

教室には若葉も居たが、特に俺に接触しようという気はないみたいだ。授業は変わった様子も無く、淡々と進んだ。授業が終わった後、教室は、生徒たちによって再び活気付いた。
紗名「ハイハーイ、今日、飲み会行くひとぉ。てえあげてー。」
美左子「二次会は、カラオケかな。今日はとことん歌うよ。」
俺が休んでいる間に、こいつら随分仲良くなったようだ。しかも、紗名と美左子が中心になって仕切ってやがる。最悪だ。大教室ならこういう時は空気になれるのだが、少人数の教室だと一気に疎外感にさいなまれる。まあいいさ。まだ四月だ。これからの大学生活、きっといい事もあるだろう。

ここ数日間、ろくなものを食べていなかったので、晩飯は定食屋に入り、焼肉定食を注文した。香ばしい肉の匂いが食欲をそそる。俺は一気に大盛りの定食を平らげた。店から出て家路につこうとすると、例の三人組と専門授業の連中が、向こうからやってくるのが見えた。俺はとっさに建物の陰に身を潜めた。くそ、なんで俺が、隠れなければならないのだ！
紗名「今日、ナテマシが来て、びっくりしちゃった。」
美左子「まだ、やめてなかったのね。なんとか引導渡したいけど、あまり関わりたくないしね。」
紗名「あーあ。明日からまた、あいつと顔を合わせるのか。もうサイテー。」
若葉「ハハハハ・・。」
若葉は引きつった笑いをして、話を合わせていた。その時、俺はようやく「ナテマシ」の意味が分かった。以前の、食堂での彼女たちの会話を思い返してみる。彼女たちは、俺の手紙の一部分で「なってました」と書くはずが、「なてました」と間違ったのをあげつらっていた。どうやら、それをそのまま、俺のあだ名にしたらしい。

あいつらは、この二週間、俺の事をネタにして遊んでいたのだ！
俺は、怒りと恥ずかしさで、自分の顔が真っ赤になっているのを感じることが出来た。

黄金の四年間、思い描いていた学園生活。これらは全て、はかない夢だったのであろうか。とにかくもう二度と、あいつらとは顔を合わせたくない。これからどうしよう。そうだ、一年間休学しよう。学年がずれれば、あいつらと顔を合わす機会も激減するだろう。どうせ受かったのが奇跡の大学なのだから、一浪したと思えばよい。その間、バイトして生活費を貯めれば、親にも迷惑をかけないで済む。でも・・あいつらの身勝手のために、俺がこんな妥協を強いられるのは・・。そう思うと少し悲しくなった。

ピンポーン

玄関のベルが鳴った。今の時間は丁度、夜の１２時を回ったところだ。こんな時間に一体誰が・・。この瞬間が、これから起こる不思議な体験の始まりである事は、全く予想できなかった。