鳴門わかめ産地偽装
ブランド失墜 つけ重く 鳴門わかめ偽装発覚1年 2009/2/6 10:55
昨年一月、不正競争防止法違反(原産地の虚偽表示)の疑いで、鳴門市内のワカメ加工業者三社を県警が家宅捜索したことで、鳴門産と表示されたワカメに中国、韓国産が混入されていたことが判明。その後の県の立ち入り調査で、偽装を行っていたのは十三社にのぼった。 取引中止相次ぐ 各社は、偽装商品の回収に追われる一方、相次ぐ取引の中止や販売ルートの変更、事業縮小を余儀なくされ、売り上げは大きく落ちこんだ。 ある業者は、偽装発覚後、東京と大阪の得意先を失い、市内の販売業者を通じて売ることにしたが、売り上げは約二割減。「買ってもらえないのでやむを得ない」と肩を落とす。 別の業者は、五社以上あった取引先が二社に減り、売り上げは半分以下に。「資金繰りも厳しく、このままでは事業を続けていくのは難しい」と話し、「地道に、信頼回復を図っていくしかない」と苦渋に満ちた表情を浮かべた。 消費者に不安感 偽装にかかわっていない市内の加工業者も発覚当初は、売り場からの一時撤去や消費者の買い控えなどで、ダメージを受けた。 それでも、生産者団体や消費者団体と信頼回復に向けた具体策をまとめ、これに基づく取り組みを始めたことで、徐々に売り上げを取り戻しているという。 県外の量販店などに納品しているワカメ加工販売業者「うずしお食品」は、北灘漁協と連携し、「北灘漁業協同組合わかめ」の商品名で生わかめの出荷を始めた。パッケージには生産者の写真も付けている。産地や生産者を明確にすることで差別化を図る狙いだ。 鳴門町漁協は、漁協が販売する商品に漁協所属の生産者が収穫したことを証明する「原産地保証書」を付けている。「取引先の要望で始めた。消費者に安心して買ってもらえれば」と信頼回復に期待を寄せる。 ただ、こうした取り組みはまだ一部にとどまっており、消費者への浸透も十分ではない。市内の主婦(57)は「鳴門わかめを買うのはまだ不安。生産者や産地がひと目で分かる商品がもっと店頭に増えてくれれば」と要望する。 鳴門わかめは県を代表する食品ブランド。食の安全・安心の実現には、情報公開の徹底やトレーサビリティー(生産履歴)の確立などが欠かせない。生産者や加工業者には、鳴門わかめの信頼を回復し、さらに価値を高める工夫が求められている。 | WEB週間ランキング(特集・連載)
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