勝てなかったが、グランパスにとっては攻守両面で今後につながる内容だった。
引いて守る浦和から、中盤からの組み立てとパスを回してのボール保持、そしてフィニッシュという流れで得点できた。表面上は磯村と、ポスト役のケネディとのワンツーパスが決まったかたちだが、このとき小川が中央から逆サイドへ動いてDFを引きつけていた。人もボールもよく動いていた。
闘莉王がボランチでも力を発揮できることが分かった。グランパスはこの試合も含めて、逃げ切り策にセンターバック3枚というかたちを選択することが多い。だが今後は終盤の逃げ切りでダニルソンとダブルボランチにしてセンターバック2人の前に、さらに2枚の高い壁をつくる方法も効果がありそうだ。
頸椎(けいつい)捻挫から復帰したばかりの千代反田が、試合中に再び頭にけがを負ったにもかかわらず、最後まで闘志あふれるプレーでプロフェッショナル精神をみせてくれたのも心強い。
気になるのは交代のカードが中盤でキープする選手ばかりになっていること。相手DFの裏に飛び出して起点をつくるような選手を起用するか、あるいはそうしたやり方をチームとして目指すかで、相手の攻撃を遅らせることもでき、試合終盤の苦しさもいくらか緩和できる。
試合間隔の短い5連戦を無敗で乗り切ったところには、チームの地力を感じた。ここで1週間の間隔を得て、フレッシュな状態で次の仙台戦に臨めば、7月もいい流れを維持できることを期待している。 (中京大監督、元グランパスDF・西ヶ谷隆之)
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