関西在住の主婦らでつくる市民団体「脱原発へ!関電株主行動の会」は29日にある関西電力の株主総会に「脱原発」を提案している。約20年にわたり毎年提案しており、例年賛成が3~4%程度だが、東京電力福島第1原発事故などの影響で、「今年は手応えが違う。株主の権利を使って意思表示をしてほしい」と株主に総会参加を呼びかける。【日野行介】
会は91年から脱原発の趣旨に賛同する小口の個人株主から合意書を集め、脱原発を提案してきた。メンバーの滝沢厚子さん(56)と久保美恵子さん(60)は「当初は旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)の後で熱気もあった」と振り返る。
しかしその後、賛成は広がらなかった。総会当日は300人ほどの社員らしき男性たちが、会場の前列で、会メンバーの発言に対して「議事進行」と大声を上げて妨害してきたという。滝沢さんは「そんなことまでする必要があるのか。株主総会独特の雰囲気で、驚いた」と話す。
会社法では、全株式の1%以上か議決権300個(通常は1個100株)を集め、株主総会の8週間前に通告すれば提案できる。会は今年も124人(計885個)の合意を集め、原発運転や核燃料サイクル事業からの撤退など計7議案を提案した。会は「福島第1原発事故で使用済み核燃料から出る放射性物質の危険性は明らかになった」と提案理由を説明している。滝沢さんは「『原発について真剣に考えたい』などと声援を多くもらった」と語る。
久保さんは「原発について一般市民が意思表示できる方法は少ない。貴重な権利をぜひ使ってほしい」と話す。筆頭株主である大阪市の平松邦夫市長はこの提案に反対する意思表明をしているが、会としては平松市長に賛成を呼び掛ける。
毎日新聞 2011年6月25日 大阪夕刊