岩手県の中尊寺などの寺院と周辺の遺跡からなる「平泉の文化遺産」について、ユネスコの世界遺産委員会は、25日、世界遺産として登録することを決めました。
パリのユネスコ本部で開かれている世界遺産委員会は、日本時間の26日未明、岩手県の「平泉の文化遺産」について登録審査を行い、ユネスコの諮問機関の勧告どおり「柳之御所遺跡」を除いて世界遺産に登録することを決めました。登録の理由について世界遺産委員会は「平泉の文化遺産は仏教の浄土を表すもので、浄土思想が日本固有の自然崇拝と組み合わさりながら独特の設計の考えや庭園のデザインを発展させた」としています。これで日本の世界遺産は、24日に登録が決まった「小笠原諸島」を含めて16件となり、このうち文化遺産は12件となりました。登録決定を受けて会場では、岩手県の達増拓也知事が演説し「平泉の登録は、東日本大震災からの復興という途方もない課題に直面しているわれわれに大きな勇気を与えてくれます」と感謝の気持ちを述べました。登録決定の瞬間を会場で見守った、地元平泉町の菅原正義町長は「待望の世界遺産で本当にうれしく思っています。東日本大震災で被災された方には暗いことしかなかったので、この平泉が世界遺産になったことで明るい良い報告ができます」と喜んでいました。
平泉町役場では「平泉の文化遺産」が世界遺産に登録されることが決まったという連絡を受けて職員たちが万歳をして喜び合いました。平泉町役場では、25日午後11時半ごろから滝山秀樹副町長や職員など10人ほどが町長室に集まり、パリで開かれているユネスコの世界遺産委員会に出席している菅原正義町長からの連絡を待ちました。午前1時前、菅原町長から電話がかかり、電話を受けた滝山副町長に「お待たせしました。ようやく決まりました」と世界遺産への登録が伝えられました。そして滝山副町長が、ほっとした表情で「決定しました」と伝えると、職員たちから拍手が沸き起こっていました。電話をかけてきた菅原町長は感動して高ぶった様子だったということです。職員たちは、記念のポスターを掲げ万歳をして世界遺産への登録を喜んでいました。滝山副町長は「おとといから詰めていたのでほっとした気持ちです。前回から3年間、平泉の価値を見直しながら頑張ってきた町の人にも感謝したいです」と話していました。平泉町では、26日午前9時から町役場の玄関前で、くす玉を割るなどして世界遺産への登録を祝うことにしています。