政治復興会議提言 成否かかる財源 「首相」が障害  2011.6.26 00:01

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復興会議提言 成否かかる財源 「首相」が障害  

2011.6.26 00:01

 政府の東日本大震災復興構想会議(議長・五(い)百(お)旗(き)頭(べ)真防衛大学校長)は25日、4月14日の初会合から12回の議論の末、「復興への提言~悲惨のなかの希望」を菅直人首相に提出した。実行には財源の裏付けが欠かせないが、菅直人首相の退陣問題がネックとなって、与野党で議論できる見通しは立っていない。首相は平成23年度第3次補正予算編成に意欲をみせるが、復興策をスピード感をもって進めるには、退陣問題を早く決着させることが急務といえそうだ。(岡田浩明)

 「後世に残る重厚な提言をいただいた」 

 首相は25日、復興構想会議の五百旗頭氏から提言を受け取り、具体策の実現に意欲を示した。復興担当相に内定した松本龍防災担当相も記者団に「しっかりと受け止め、アクセルを踏んで短期間で仕上げたい」と述べ、27日に始動する政府の「復興対策本部」(本部長・首相)で、提言を土台に復興基本方針の策定を急ぐ考えを示した。

 だが「退陣表明」した首相の下で提言を具体化させることに、野党幹部は「首相は延命の口実を探し出すに違いない」と抵抗の構えをみせている。

 特に、提言は「復興債」の償還財源を確保するために臨時増税を提起したが、ねじれ国会のもとでその道筋をつけようとしても、民主党内に加えて与野党の合意が欠かせない。

 会議の委員を務める村井嘉浩宮城県知事は提言を「非常に満足する。合格点だ」と評価したが「最後は財源に突き当たるので、しっかりと財源を確保してほしい」などと、財源なしでは復興はできないことを強調した。

 しかし、増税問題はたたでさえ反発を受ける課題だ。五百旗頭氏が会議の初会合で「震災復興税」の検討を表明すると、政府内からも「学者や有識者が正面から論じるテーマではない」(片山善博総務相)と攻撃された。今回の提言は臨時増税の対象として所得税や法人税などの「基幹税」を挙げるにとどめ、具体化は政府に委ねた。

 増税には、民主党にも強い反発がある。超党派の議員連盟「増税によらない復興財源を求める会」は16日、復興財源は増税ではなく埋蔵金などを活用すべきだとの声明を発表した。

 また、自民党など野党には、菅首相が居座ったままでは政策協議はできないとの空気が広がっている。

 五百旗頭氏は提言後の記者会見で「重大な国難であればあるほど与野党が協力し、被災地や国民を救うために約束してほしい」と与野党双方の協力を呼びかけた。委員の脚本家、内館牧子氏も「提言が実現するか、目を光らせておかなければいけない」と述べたが、提言を受け取った肝心の首相が、提言実現のネックとなっているのは皮肉としか言いようがない。

 そもそも当初、今回の提言は「第1次提言」に位置付けられ、年末に最終提言が出る予定だった。

 しかし、菅首相の退陣問題の混乱で「先の展開を予知することはできない」(五百旗頭氏)として、今回の提言にはできる限りの復興策が盛り込まれ、事実上の最終提言となった。

 一方、提言の中身は、会議主導のかけ声とは裏腹に、各府省が復興策を持ち寄った「総花的」な官主導の提言に仕上がった印象が否めない。

 会議は当初、15人の委員による「個性的な論客」の主張の場となって議論が進まず、岩手、宮城、福島の被災3県の状況が異なることもあって、とりまとめは難航した。その結果、首相が嫌う官僚の手を借りないと提言がまとまらなかったというわけだ。

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