2011年4月27日 12時20分 更新:4月27日 12時56分
全世界で7700万人分の個人情報が流出した可能性があるソニーのインターネット配信サービス「プレイステーション・ネットワーク(PSN)」と「キュリオシティ」。情報セキュリティーの専門家は「ハッカー集団とソニー側が国外でトラブルになっていた」と背景を分析している。
ソニー・コンピュータエンタテインメントは日本時間の21日、ホームページで同日昼ごろからPSNの利用停止を掲載。23日には「外部要因によるとみられる」とハッカーによる不正侵入をうかがわせていた。
森井昌克・神戸大大学院教授(情報通信工学)は「不確かな情報を出すと逆に混乱する。被害の拡大防止のためにネットワークを遮断したのは正しい対応だったのではないか」とした上で、ソニーとハッカー集団とのトラブルを挙げる。
PSNのセキュリティーの根幹情報をハッカーがブログで公開したことを受け、ソニーは1月、国外でハッカーを提訴。これに反発したハッカー集団が「情報は自由だ」とソニーへのネット攻撃を宣言し、欧州のプレイステーションのサイトなどが攻撃を受け、閲覧できなくなっていたという。
情報セキュリティーコンサルタント「S&Jコンサルティング」(東京都港区)の三輪信雄社長は、ハッカー集団は内部告発サイト「ウィキリークス」と関連があると指摘する。昨秋、マスターカード、ビザ、アマゾンなどがウィキリークスの寄付金集めやサーバー利用のサービスを中止したところ、ハッカー集団がネット攻撃してサイトがダウン。三輪社長は「ウィキリークスは否定しているが、ハッカー集団は支援していたという。日本の企業が狙われたのは初めてだが、ハッカー集団は互いにどこの国の誰か知らずに同じ対象を攻撃する。ターゲットは広がる一方、指導者はおらず取り締まりは難しい」と話す。
森井教授によると、ハッカー集団はPSNの停止と関係はないという声明を出しているが、「同調者が実行した可能性はある」という。森井教授は「国内には不正アクセス禁止法があるが、国際的な対応は難しい。企業は個人情報をネットで扱わざるを得ず、厳重に管理するしかない」と指摘する。【竹内良和、池田知広】