脅迫罪:暴言の警部補に求刑上回る罰金30万円…大阪地裁

2011年4月28日 16時52分 更新:4月28日 23時2分

 遺失物横領事件の取り調べで暴言を吐いて脅したとして、脅迫罪に問われた大阪府警東署の警部補、高橋和也被告(35)の判決が28日、大阪地裁であった。岩倉広修(ひろみち)裁判長は「被告の取り調べ手法は虚偽の自白を招き、冤罪(えんざい)を生み出す温床になる」として、検察側が求刑した罰金20万円を上回る罰金30万円を言い渡した。求刑を上回る判決は異例。

 判決によると、高橋被告は昨年9月3日、遺失物横領事件を巡り、大阪府吹田市の会社員、岡本和真被告(35)を東署の取調室などで3時間にわたり任意聴取した際、「お前の人生、むちゃくちゃにしたる」「殴るぞお前」などと暴言を浴びせた。遺失物横領事件は立件されず、岡本被告は昨年10月、高橋被告らを特別公務員暴行陵虐容疑などで告訴し、その後、別の窃盗事件などで逮捕、起訴された。

 岩倉裁判長は「(岡本被告の)精神的苦痛は大きく、警察捜査に対する信頼も大きく損なわれた」と、懲役刑も考えられる事案だと指摘。しかし、被害弁償を申し出たことや府警で減給処分を受けたことなどを考慮し、脅迫罪の法定刑で罰金の上限30万円を言い渡した。

 また、高橋被告と同席していた巡査部長も暴言を止めておらず、「府警内部の意識や体制にも本件を誘発した一因があった」と、違法な取り調べを防止する監視体制が構築できていなかったと指摘した。

 高橋被告は「判決文をよく読み、心に刻みます。申し訳ございませんでした」との談話を発表。府警の南野伸一監察室長は「結果を厳粛に受け止め、職員の指導教養を徹底し適正捜査に努めたい」とコメントした。

 暴言を吐かれた岡本被告は「罰金判決で残念でなりません」と懲役刑を求めるとのコメントを発表。弁護団のメンバー、小坂井久弁護士(大阪弁護士会)は「府警は裁判長の言葉を重く受け止め、直ちに取り調べの可視化に取り組むべきだ」と話した。【村松洋、苅田伸宏】

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