放射線被曝量に関するリスクの定量的考察

はじめに

安全だとか、危険だとか言っている人は、どっちにしろリスクを定量的に考察しなさいよ。特に知恵袋でも自作サイトでも何でも「危険だ、危険だ」と騒いでいる連中は、リスク評価を定量的にしている議論を見たことがない。 だから、私がここで、簡単に定量的にリスク評価を行う。

発ガンリスク

で、最初に示したいのが国立ガンセンターの統計。2005年の統計結果で、生涯のガン罹患率は、男性で53.6%である。放射線被曝しなくても、日本人が標準的な生活をしていれば 、概ね2人に1人以上は、一生のうち一度はガンになるわけだ。しかもそれ以前の統計結果を見ると増加傾向にある。

放射線被曝の動物実験結果

次に示すのが、 低線量放射線被曝の動物実験。マウスに最大で一日20mGyを400日間照射して確率的影響を調査した実験。総線量8Gyとは、発ガン等影響が確実に現れると予測される線量である。実験結果は、47P~49Pに記載されている。1日20mGy浴びても、平均寿命が1割程度短縮するだけ。1mGy/日でも、ほとんど寿命に違いがない。ほとんど影響がなければ、相対リスクはほぼ1だ。

放射線被曝と喫煙リスクの比較

このリスクがどの程度のものかというのを、タバコと比較して検証する。放射線被曝のリスクだけ見て、それが危険か安全かなんて、ナンセンスな議論なわけですな。なぜなら、世間には放射線以外にも健康リスクはたくさんあるから。 そこで再び国立ガンセンターのサイト。で、結論は表2。喫煙をすると発ガン率は全ガンで2倍となる(男性の場合)

ここだけでの結論

ちょっと調べただけでは、放射線被曝による発ガンの相対リスクをズバリ示す実験結果は見つけられなかった。でも…、

放射線量なんか気にしたって、どうせ半分はガンになるんだろ。

悪性リンパ腫になるか、他のガンになるかの違いぐらいしかない。

1μSvもない放射線から逃げるより、タバコの煙からすごい勢いで逃げた方が、生涯の発ガンリスクを回避するためには効果的だろうよ。

仮に、放射線を恐れるヘビースモーカーが居たら、ちゃんちゃらおかしいわけですな。

「内部被曝と外部被曝は違う」と言い出す輩が居る。当然違う。だが、総線量で見れば同じこと。外部被曝は、除染の余地があるが、内部被曝はもはや除染できない。だだ、それだけの違いです。

まとめにかえて -「安全、危険」は主観論-

何をもって「安全」と言い、「危険」というかは、所詮、主観論なのですよ。旅客機が危険だと思っている人間もいるわけだし、単車が危険だと思って、乗らない人もいる。同じようにそれらが安全だと思って利用する人もいるわけだ。つまるとこ、絶対的安全など存在しない。絶対的安全を求めるなら、死ぬしかない。そんなわけで、マウスの動物実験において1mGy/日の線量を浴びても影響がほとんどなかっからといって、「1mGy/日なら安全」とは私は他人に向かって言わない。「1mGy/日の線量では影響が出なかったという動物実験の結果ならありますよ。」と言うだけである。それが、 安全か危険かは個人が決めることだ。

ただ、他の健康リスクの方が高いのに放射線の健康リスクばかり気にするのはバカだなとは思うよ。

それにリスク回避なんてメリットとのトレードオフでしょ。放射線被曝の健康リスクを回避するために被った損害は、回避したリスクに見合うのかということですよ。

おまけ

http://johokizai.com/wpblog/

放射線量測定を商売にしているところで、放射線の安全性や危険性についてしている議論にはバイアスがかかっている。「いまの放射線量は安全だから測定する必要すらない」と言ってしまったら、測定器の購入費用を回収できなくなってしまう。そこそこに不安を煽っておいて、客に測定を依頼させるのがもっとも効果的だ。

ただし、測定器と測定値の取扱については、正しいことを書いてある。そりゃ、お金を取って行う測定の正当性を主張して、お金を払う側にその価値を示すために必要だから。

 

 

今回のエントリは、実験結果や統計資料を根拠に定量的な考察を行ったのだから、反論したい奴は、 実験結果や統計資料を根拠に定量的な反論をしろよ。

どうせ、根拠のない主観的で情緒的な反論しかできないだろうけどな。

 

産経新聞では放射能の発ガンリスクを報道していた。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110501/dst11050107010003-n1.htm

コメントをどうぞ