綾紫の閑散日記
2011年1月5日〜1月16日

 
草食系と肉食系·軟派と硬派/私のしごと館
2011年1月16日(日)
今日は晴で寒い1日だった。近所の神社でとんど焼。第1の話題:さて昨今、草食系、肉食系なる言葉を聞く事が多い。これは恋愛や性への態度に関する分類基準で、積極的なのが肉食系、そうでないのが草食系。似た印象を持つ言葉として今では死語だが硬派、軟派もある。概ね、腕力や男らしさを強調する者が硬派、恋愛やおしゃれに気を遣う者が軟派である。となると、この2つの分類基準どうしの関係はどんなものだろうか。

直交する軸とも解釈できようが、恋愛観から肉食系と軟派が同じであるとして、男らしさの順に並べると

S―N―K
図1
 
となりそうである。Sは草食系、Nは肉食系=軟派、Kは硬派。しかしこれでは、硬派が色恋沙汰に積極的ではない点を表現できない。そこで、

S―K―N
図2
 
の様に並べるのも一理ある考え方だが違和感は残る。よって更に

K
SN
図3
 
に示すような2次元モデルはどうだろうか。即ち、草食系より肉食系が、軟派より硬派が男らしい事は受け容れるとしても、その中身は全く異質であると見做しつつ、肉食系と軟派を同一視する態度だけは堅持する。改めて図3に立つと、見方により図1の様にも図2の様にも見える事が分かる。

ここで終わりではない。図3の各辺の中点に意味を持たせる、即ち

K
γα
SN
β
図4
 
の様なモデルを採用するならば、中間型即ちα·β·γはどんな人柄になるだろうか。実はここで参考になるのが岡田尊司著「なぜ日本の若者は自立できないのか」


図5
 
である。「なぜ日本の若者は自立できないのか」は、人間の情報処理の在り方として視覚空間型·聴覚言語型·視覚言語型の3つを挙げ、日本の教育は特に視覚空間型の若者に向かないが故に、その自立を妨げていると説く。視覚空間型の人はじっくり考える事は苦手で問題児扱いされ易いが、実技には強く、職人や芸術家、スポーツ選手等に向いている。聴覚言語型の人はコミュニケーション能力に優れ、場の空気を読み、共感的で、奉仕したり、相談に乗ったり、交渉したりする仕事に向く。従って論理的、抽象的な話題は苦手と云う欠点もあるが、概ね日本の教育システムに於いては困難は感じない。視覚言語型の人は聴覚言語型の人と違って論理的、抽象的な思考に強く、学者や研究者に多い他、法律や会計の分野にも適するが、社会的スキルに難がある。

この分類方法、H. Gardnerの7つの知能説(言語的·論理数学的·空間的·音楽的·身体運動的·社会的·内省的)を簡略化しただけにも見えるが、図4との関連を考えるならば、視覚空間型·聴覚言語型·視覚言語型の人柄がまさにα·β·γに相当するのではないだろうか。何故そうなのか、気が向けば述べるかもしれない。

第2の話題:産経によれば、精華町の木村要町長は、閉館している「私のしごと館」について、京都府に無償譲渡された場合でも、地元として府に協力する考えを明らかにした、とある。京都府が「けいはんなアグリバイオバレー」構想をまとめていて、その中で私のしごと館の活用にも触れている事は5日に、無償譲渡されれば活用を考える事は10日に触れたばかりだが、「地元として府に協力する」とは具体的に何をするのだろうか。公的な研究機関として活用する場合、税を減免する措置かもしれない。私のしごと館も現役の頃には、公的な文化施設として税の面での優遇措置を受けていたからである。
 

産経(sankei.jp.msn.com/region/news/110113/kyt11011301500010-n1.htm)
 
 
ポスト1300年祭
2011年1月11日(火)
今日は晴だが、この所深夜から早朝に掛けて霜が降りている事が多い。さて平城遷都1300年祭後の奈良の動向に触れよう。全て奈良新聞を引用する。(1)先ず9日に行われた奈良検定。県内の歴史や文化、観光や自然などに精通した人を発掘し、ボランティアガイド等として活躍してもらうのが目的の様子だ。同じ日には(2)平城京新春マラソン。昨年12/5にも開催されたばかりだが、こちらは2.5km〜10km迄の小規模なマラソンイベントだ。そして(3)「あかい奈良」が50号発刊を迎えた。あかい奈良は奈良の地域情報誌の1つ。 最後に(4)奈良文化財研究所が編集した「図説 平城京事典」が完成。これまで平城京を発掘した面積は100ヘクタールにも及んでおり、図版をふんだんに盛り込み、平城京の暮らしから考古学的な研究法まで学際的に解説。素人が来る様な書店にもあるのだろうか。
 

(1)奈良(www.nara-np.co.jp/20110110110629.html)


(2)奈良(www.nara-np.co.jp/20110110112843.html)


(3)奈良(www.nara-np.co.jp/20110111134558.html)


(4)奈良(www.nara-np.co.jp/20110111132104.html)
 
 
私のしごと館/山焼き見物の下見
2011年1月10日(月)
今日は晴。先ず私のしごと館の話題。(1)朝日によれば、山田啓二京都府知事が、「譲渡だったら活用も含めて考える」と述べ、無償で提供されれば、施設を引き継ぐ考えを示した模様。京都府は滞在型研究施設として活用する案を盛り込んだ国際戦略総合特区を申請しており、その一環だろうが、同時に農業研究の拠点として活用する案も検討している。1/5に触れたが、この案には私のしごと館を滞在型施設に改装する計画は含まれておらず、既存の国際高等研を利用する事となっている。少し、違う。それと過去、私のしごと館の建設に際し、京都府土地開発公社は雇用·能力開発機構に150億円で売却した。ここで無償譲渡となると、京都府は150億円、丸儲けである。

次に自分で撮影した写真を久し振りに載せる。もうすぐ山焼きが行われる若草山である。東大寺大仏殿や2月堂も見える。昨日、近所で山焼き見物に相応しい場所はないか探していた所、見つかった。
 

(1)朝日(mytown.asahi.com/areanews/kyoto/OSK201101050193.html)


(2)若草山を望む
 
 
ポスト1300年祭/けいはんな地区動向
2011年1月5日(水)
今日は曇後雨。1300年祭後に向けた動きが始まった。先ず(1)朝日は、奈良県の公式マスコットとして採用されたせんとくんが、仕事始めの4日、観光振興課に出勤した事を報じている。知事によれば九州に出向き、奈良県をPRする模様である。それからまた(2)朝日だが、1300年祭後の各論。記紀·万葉プロジェクト立ち上げや特別開帳を始めとするイベントの継続等がその中身である。1300年祭が成功と見做されているのは「平城遷都1300年祭」と云うキーワードの元で奈良県全域で各地のイベントを盛り上げた為である。賑わいの持続の為には、何か旗柱が必要ではなかろうか。そして(3)毎日。記紀·万葉プロジェクトの柱となる古事記の、図書情報館長·千田稔による解説である。古事記の舞台は奈良県内にも多く、
  • スポットとしては古墳があります。古事記に関連のある古墳を見ながら、いろんな場所をただ歩くだけでも、多くの人を引きつけるイベントになる。古事記をテーマにした芝居や歌なども交えて「やまと丸ごとまほろば楽土」とでも名前を付けたらどうでしょうね。
と古墳に因んだイベントを提案。古事記編纂1300年を記念するイベントは島根県でも計画されているので、連携は出来ないだろうか。

最後は話題を変え、奈良県に隣接するけいはんな地区の動向に触れる。(4)京都新聞によれば、「私のしごと館」跡や隣接する大阪ガス所有地等を、京都府が「けいはんなアグリバイオバレー」として整備する事を構想中である。

けいはんな地区と農学の縁は深い。

今、既に京都府大の農場があり、最近花空間けいはんなを接収して拡張されたが、そればかりではない。

京大の農場も高槻市から移転する計画も決まっているが、けいはんな地区開発のそもそものきっかけは関西学術研究都市調査懇談会の座長を務めた奥田東元京大学長が、留学生向けの農場を作りたいと思った為でもあった。

これだけが理由ではないだろうが、ともかくけいはんな地区で盛んな研究分野の1つは農業である。さてけいはんなアグリバイオバレー構想の中身だが、
  • ITや次世代エネルギーを駆使して付加価値の高い食糧を生産する「省力精密農業」を研究実践し、
とあり、参加機関にRITEやNICTが含まれている事から、従来とは異なる農業研究となっている。具体的には
  • 一帯では、生産性が高い営農システムの構築を目指すとともに、特定の栄養素などが豊富な野菜の生産方法などを探る。衛星から作物の生育状況を探知し、最適な施肥やかん水を図る。野菜工場での太陽光発電の利用やロボットによる管理、センサー制御などを研究し、農作物を試作する。農業に密接に関連する環境·エネルギー、次世代医療、情報通信などの研究も行う。
との事。疑問なのはこの"一帯"、即ち
  • 構想では、私のしごと館付近の約20ヘクタールを中心ゾーンに設定する。大ガスの遊休地11ヘクタールに民間企業を誘致し、共同研究を通じて企業内外のアイデアを有機的に結合させ、新産業創造を目指す。
とされている私のしごと館周辺の活用案。これが成立する為には広がった京都府大の農場、移転が予定されている京大の農場、その他研究機関が手狭になっていなければならない。しかも研究の種類にもよるが、もし手狭ならば先ずけいはんなプラザを利用してもらいたいのは京都府自身である。また民間企業を誘致するとあるが、生産と研究を一体化した施設も来て下さい、と云う様な規制緩和をしない限り、民間企業は来ない。それから私のしごと館の役割については、
  • 「しごと館」跡には会議や展示の機能があり、研究開発などに利用する。海外の研究者を呼び込み、居住施設が整う高等研に長期滞在してもらう。
とあり、以前の滞在可能な研究所、から一歩後退。滞在は、国際高等研が担う事となっており、私のしごと館の役割は「会議や展示」だけになっているが、これではインセンティブが無い限り、私のしごと館を活用したいと思う研究者は出て来ないのではなかろうか。
 

(1)朝日(www.asahi.com/national/update/0104/OSK201101040050.html)


(2)朝日(mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000001101050001)


(3)毎日(mainichi.jp/area/nara/news/20110101ddlk29040218000c.html)


(4)京都(www.kyoto-np.co.jp/top/article/20110103000023)