pc98*1からpc98eに運用システムを移動する
システムの移動方法を決める
pc98eでmsdosが起動するだけも『すごいこと』だと感動できますが、普段使っているシステムをpc98eに移動/運用してさらに感動しましょう。
仮に、pc98*1のシステム運用に必要なファイル群が、
| hdドライブの | "a:\dos"と |
| "a:\sys"という2つのフォルダに必要なファイルがすべて収まっているとします。 |
これらのディレクトリにあるファイルを、起動fdディスクイメージ・ファイルの作成と同じ手順でpc98eの仮想hdドライブに移動させると、相当なな手間と時間がかかるというのは誰でも気付いてしまうことでしょう。
多くのファイルを2HD-1.2MBに収まるように確認しながらfdにコピーするのは気が遠くなりそうな作業になるでしょう。また、辞書ファイルなど2HD-1.2MBに収まらないファイルもあるでしょう。2HD-1.2MBに収まらないファイルは、先ほどの分割という手順を使うのですが、ファイルを一つ一つコピーするのが大変なことには変わりありませんね。
当然、それらの作業が終わってから『pc98eは動作しているパソコンのドライブを認識できない』し『仮想fdを交換することはできない』ので(くりかえしますが、現在は……という制限だと期待しましょう)2HD-1.2MBのディスクイメージを2DD-720Kのfdに分割ファイルをコピーしてから、pc98eを動作させるパソコンで分割ファイルを復元して、pc98eを起動して仮想fdドライブから仮想hdドライブにデータを移動して、pc98eを終了。仮想fdを入れ替えて(リネームして)pc98eを起動して……という作業を『延々と繰り返す』必要があります。
20世紀も目前だというのに、こんな悲しい作業は『やってやれない』と大抵の人は挫折してしまうでしょう。でも、ホンの数年前までは100MB程度のhdドライブのバックアップをfdにやってるのは普通の作業だったようにも思います。せめて、このレベルの作業になれば、随分と楽になるに違いありません。
ということで『このレベル』になるツールは、作者さんがcpli98.comとして用意してくれています。
| CPLI98 | COM | 16,636 | 98-03-15 | 0:23 | cpli98.com | ||||||
- "cpli98.com"はpc98eのmsdosで動作するツールです。起動fd作成の項目でコピーするのを忘れていませんよね?
"cpli98.com"というツールの役割は、pc98eが動作しているディレクトリの中にある"newfile"というファイルをpc98eの仮想ドライブにコピーしてくれることです。cpli98が認識するのは"newfile"とファイル名に固定されているという制限がありますが、仮想fdドライブを経由した場合に比べて、手間やファイルサイズの制限を受けることなくpc98eにデータをコピーすることができます。
- なんとなく、任意のファイル名を扱えるバージョンが登場しそうな気も……そうなると、いろいろ便利ですね。
では、ツールが登場したところで、実際の作業を考えてみましょう。先ほど説明したようにpc98*1のシステム運用に必要なファイル群が、
| hdドライブの | "a:\dos"と |
| "a:\sys"という2つのフォルダに必要なファイルがすべて収まっているとします。 |
この場合、"dos" と"sys"ディレクトリを"newfile"という1つのファイルにできればグッと作業が楽になります。ファイル毎に"coli98"を実行する必要がなくなるからです。1つのファイルにするためには、『アーカイバ』と呼ばれるツールを使用します。今回の例では"lha.exe"を使います。
- pc98e(pc98*1)で動作できるアーカイバが必要です。他のアーカイバを使用したい人は、起動fd作成の項目で"lha.exe"ではなく、好みのアーカイバをコピーしてください。
アーカイブファイルの作成
[PC98*1]での作業
pc98*1で"lha.exe"が実行できることを確認したあと、hdドライブ(Aドライブ)のルートから次のようにコマンド実行します。
| A:\>lha a -rx files \sys\*.* \dos\*.* | |
- トラブルを防ぐために、pc98*1のhdドライブの空容量と、扱うファイル数には十分注意してください。作れるファイル数は1000個以内に、ファイルサイズは、hdドライブの空容量の半分程度まですれば問題ないと思います。
- さらに、データを移動するpc99eの仮想hdドライブは66MBしかありません。作成された"files.lzh"のファイルサイズと復元される"dos"と"sys"ディレクトリサイズの合計が66MBを越えることはできません。実際には、さらに少なくなります。
- 時間も相当費やします。使用するpc98*1によってはビデオや本をみて時間を潰しましょう。
これで、"files.lzh"という巨大なファイルが出来あがります。"dos"ディレクトリと"sys"ディレクトリの中身が"files.lzh"という『1つのファイル』になりました。pc98eの動作するパソコンに移動させるために"kitcut.exe"を使ってファイル分割を行います。次のようにコマンド実行します。
| A:\>kitcut -b2dd720 files.lzh | |
- "files.lzh"というファイルを、720K以内でファイルを分割してくださいという指定です。すると"files.env"、"files.aa"、"files.ab"、……というファイルが作成されます。
無事に分割ファイルの作成が終わったら、pc98eを動作させるパソコンに出来た分割ファイルを移動させます。
こればかりはひたすらにディスクを2台のパソコンの間をいったりきたりして作業をすることになります。これが嫌な方は、MOなどの大容量リムーバブルメディアや、LANなどの導入をすることになります。
分割ファイルをの復元
[IBM PC/AT]での作業
分割ファイルを移動が終えてから、次のようにコマンドを実行します。
| A:\>kitcut -r files | |
分割ファイルが復元され"files.lzh"ファイルが作成されます。分割前のファイルサイズの比較などを行い。正常に復元できているようなら、不要なファイル("files.env"、"files.aa"、"files.ab"、……)は削除してかまいません。
不安なら"lha.exe"で"files.lzh"をテストすることもできます。次のようにコマンドを実行します。
| A:\>lha t files.lzh | |
問題があれば、pc98*1でもテストするなど対策してください。問題がなければ、ファイル名を"newfile"にリネームして"cpli98.com"が認識できるようにしておきます。
pc98eで"newfile"を取り込みます
[pc98e]での作業
pc98eを起動してコマンドプロンプトから"cpli98.com"を実行します。次のようにコマンドを実行します。
| A:\>cpli98 | |
"cpli98.com"も寡黙なツールです。作業が終わると何事もなかったようにコマンドプロンプトに戻ります。dirコマンドなどで"newfile"が作成されていることを確認しましょう。
"sys"と"dos"ディレクトリの復元
[pc98e]での作業
ファイルサイズの比較などを行い。正常に復元できているようなら、"dos"と"sys"ディレクトリを復元します。次のようにコマンドを実行します。
| A:\>lha x newfile | |
復元中のファイルを表示しながら、作業は進みます。見てもわかるとおり、相当な時間がかかります。ビデオや本をみて時間を潰しましょう。
正常に復元できましたか?
できなかった場合は……原因はどこでしょうか?
"lha.exe"と仮想hdドライブの容量的な問題ならば、転送するファイルサイズを"dos"と"sys"ディレクトリの2つに分けて作業を行うなどの対策が考えられます……それ以外の場合は……? 自分で努力しても解決できない場合は、掲示板に頼りましょう。
正常に復元できていれば、あとは、pc98eが動作する範囲内で、使いやすいようにpc98eをカスタマイズしましょう。
動作したプログラムや、動作しなかったプログラム、動作できるようにする設定など、掲示板などに報告すれば、pc98eを運用するテクニックが蓄積され、pc98eがますます使いやすくなることでしょう。
pc98eの世界を楽しんでください!!