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June 21, 2007
トメさんレポートその1
(家族になって、2ヶ月近く経った時のお手紙)
トメさんがうちの子になって2ヶ月弱になります。我が家では初めて迎えた成犬です。それなりにいろいろありました♡でも、とても楽しい毎日を送っています。トメさんを迎えるまでのいきさつ等を交えて、ちょっとご報告させていただきます。
我が家では、6年ほど前に、飼っていたネコを老衰でなくしました。正確には、同居を始めた夫の母が飼っていたネコです。子どもがある程度大きくなりましたので、そろそろまた動物を家族に迎えたいと、半年ほど前から思っていました。しかし、ペットショップで子犬を購入という選択肢は私の中にはありませんでした。悪質な繁殖業者のニュース、保健所での安楽死と称する苦痛死等、胸が痛くなるような現実を、浅くではありましたが知っていましたから。たとえば、近所で子犬が産まれて、貰い手をさがしている人から譲ってもらうなんてことができないかしら?あるいは、保健所に行って、1匹でもいいから処分される子を救えないかしら?でもでも、たくさんそういう子がいるだろう、その中から果たして私は選ぶことができるのか?しかも、私自身は日中仕事で家にいられません。世話をするのは義母が主となります。手のかかる子犬だと、大変かな。さてどうしたもんだろう・・・。
そんな時、知り合いが犬を連れているのに遭遇しました。聞くと、そのワンちゃんはお友達が引っ越しで飼えなくなったので譲り受けた子で、成犬だといいます。(チワワだったので一見大人だとわかりませんでした。)その子がとても懐いているのを見て、成犬の里親になってみようと決意し、インターネットで里親募集掲示板を探しはじめたのでした。
まもなく、「いつでも里親募集」というホームページを発見。そのページ以外にも、あまりにもたくさんのワンニャンたちが日本中で里親さんを待っていることに、改めて驚かされました。そして、処分されてしまうワンニャンたちの現状に、悲しく、腹立たしい気持ちを更に深くしました。と、同時に、ボランティアさんたちが、地道で辛いことの多いであろう保護活動を、一生懸命続けておられることに心を打たれました。
しかし、正直いって、「いつでも」のたくさんのワンたちの中から、選ぶのが大変でした。かわいい子がいっぱいでしたので。しかも、純血種のダックスやチワワ、ラブ、ゴールデン、ハスキー、シーズーなどなど、ペットショップで高額で売られていたであろう子たちがいっぱい。なんで?流行り物と同じように、飽きたから捨てるのでしょうか・・・。でも、勝手な思い込みかもしれませんが、そういう子たちはその犬種にこだわりを持っている人たちに一目惚れされて、里子に行けるような気がして、私は雑種にしようと決めました。昔実家で飼っていた犬も雑種でしたしね。
また、子犬や若い犬から先に里親が決まるということなので、かわいさに誘惑されそうになりながらも、初志貫徹!涙を呑んで(?)2歳未満の子は選択肢からはずしました。そしてようやく数頭に絞り込みました。しかし、私がいろいろ迷っている間に、絞り込んだ中の1頭が、掲示されなくなりました。きっと里親さんが決まったのでしょう。こりゃー、モタモタしてられない、こういうことってタイミングが大事なんだ!そして慌てて一番気になっていた「トメサン」なる子の保護主さんに連絡をとってみたのでした。
そしてすぐに家族全員で「お見合い」をさせてもらいました。「トメサン」は、私が思っていたよりちょっと大きい子でしたが、尻尾ふりふり、愛想も良くて、推定6〜8歳(フィラリア陽性)というわりにはとても元気そうでした。私が「この子を飼いたいんだけど、よろしいでしょうか?」というと、家族全員、異議なし。「お見合い」を終えて帰る時、もう「トメサン」は我が家の車に乗る気でいました。このことは後で保護主さんに「トメサン、それはないんじゃないの〜!」と突っ込まれる材料になってしまいました(笑)
その後、1週間後には「トメサン」は保護主さんに連れられて、うちにやってきました!実は、私は里親になる為には、いろいろ審査のようなものがあって、けっこう厳しいのではないかと身構えていました。里親になりたいといって譲り受けた子を虐待したり、動物実験に使ったりする里親詐欺の話も聞いていましたし、そこまでいかなくても、里親希望の人が、実はペット飼育不可の住宅に住んでいたり、家族全員の同意を得ていなかったり。ボランティアさんの、ワンニャンたちの幸せを願う気持ちを踏みにじるような人も、残念ながらいるそうで、慎重にならざるをえないのだそうです。ですから、身分を証明するために、保険証や名刺などを用意し、こちらの「トメサン」を譲り受けたい気持ちをきちんとお伝えしなければと思っていました。ところが、家族全員で「お見合い」に行ったのが効を奏してか、すんなりと「トメサン」は、「トメさん」になりました。実は、私が考えていた名前があったのですが、呼びにくいという理由で家族の反対にあい、トメさんのままでいい、ということになりました。本犬も呼ばれなれた名前の方がいいでしょう。ちょっとおばあさんみたい、とは思いましたが、保護した当時はガリガリでボロボロで、本当にお年寄りみたいだったということです。私の考えていた名前も、思い入れの強いものでしたが、名前はあくまでよその犬とうちの犬を区別するためのもので、愛情をもって呼べばどんな名前でもいいや、と思うようになりました。「えっ、トメさんっていうの?!」と、友達にもけっこう笑われますが・・・(笑)
トメさんは保護主さんが帰る時、クンクンと後追いしました。しばらく悲しそうに玄関で落ち着かなくウロウロしていました。こちらも辛かったのですが、なるべくそっとしておこうと思いました。しばらくして、うちに来て初めてのお散歩に連れて行きました。その時、ちょっとした事件が。あるおうちの前に差し掛かったとき、玄関先にいたワンコ(たぶんキャバリア)に突然吠え掛かられました。しかもその子、リードをしてなかったんです!飼い主さんも玄関先にいたので、ちょっとの間だけなら大丈夫だろうと思っていたらしくて!相手が飛び掛ってきて、車道に出てしまって、すごくびっくりしましたが、トメさんは驚いた様子でしたが吠え返すこともせず、落ち着いていました。さすが、放浪して苦労してきただけのことはあるなあ、と、誇らしく思いました。(キャバリアちゃんはすぐに飼い主さんに捕らえられ、車にひかれたり、行方不明になったりしませんでしたよ。飼い主さんは私たちに平謝り・・・。やっぱりワンコはノーリード、絶対にだめですよね。)
その後、トメさんは着々とうちの子になっていきます。登録し、鑑札もつけ、病院で検診も受けました。病院でもおとなしくでき、獣医さんにもほめられました。私たち一家も、親ばかロードを一直線にひた走っています。特に、トメさんは日中家にいる義母のことが大好きになり、金魚のフン状態です。義母も口では「暑苦しいなあ、もう」などといいながら、完璧にメロメロです。
一時期、お留守番ができなくなって、義母がちょっと出かけている間中、ずっと鳴き続けたことがありました。(マンションの管理人さん談)また、留守番中にケージから脱走してしまい、玄関のドアを開けたら、そこに尻尾を振りながら待っていたこともありました。(どうやって脱走したかはいまだに謎です。)
また、時々うちの娘(小学2年生)をなめるようなところも見られました。そこで、なるべく娘からご飯を与えるようにさせ、「○○(娘の名前)は、トメさんのことが大好きなんだよ、トメさんがいじめられたら守ってあげるっていってるよ。」と言い聞かせているうちに、「まあ、しょうがないか」と思ったようで、割と言うことをきくようになってきたと思います。娘は今、夏休みなのですが、朝、私が仕事に行くとき、「行ってくるね。」といって娘を抱きしめたら、「お母さん、トメさんにもギュッと(抱きしめて)してあげて!」と言われてしまいました。普段は、ワンコが嫌がりそうな、大きな音をたてたり、荒い扱いをしたりして、その度私に怒られている娘ですが、本当にトメさんのことが大好きなのです。トメさんのどこが好き?と聞いてみたら、「丸くなって寝てるところがかわいい」「毛がほよほよして柔らかい胸のとこがなでると気持ちいい」とのことです・・・。
うちの夫に対しては、ちょっとまだビクビクしています。特に抱きかかえようとすると、怖がって一声キャン!と鳴くことがあります。でも、鳴いた直後に、我に帰って「お父さん、鳴いちゃったりして、ごめんなさい」とでもいうように、一生懸命「お手」をします。右手と左手をとっかえひっかえしながら・・・。何か嫌なことをされる!と思うのでしょうか。放浪している間に、男の人にひどい目に合わされたりしたのでしょうか。夫のいうことはちゃんと聞きます。好きなんだけど、ちょっと怖い、といった感じです。ゆっくり見守っていけば、そのうちビクビクもなくなっていくと思います。
トメさんは本当にいい子です。どうしてこんないい子が、どれくらいの期間かわかりませんが、放浪していたのでしょう。ダメといわれたことはしませんし、いたずらは全くしません。(とはいえ、ちゃんとしつけもしていますよ、甘やかしてはいないつもり!)問題があるとしたら・・・。朝の散歩に行く前に、狩猟本能が騒ぐのでしょうか、遠吠えを2,3回すること(そんなにうるさくはありません)。あとは、なぜか散歩の時、女の子なのにマーキングもどき(?)をすること。しかもその時、男の子みたいに片足を上げ気味におしっこすることがあり、はしたないのです!「もう、やめなさい、女の子なんだから!」と言ってもわからないようなので(泣)、根気よくしつけていきます。そのくらいです。
子犬は確かにコロコロでムクムクで、かわいいですよね。でも成犬には成犬の魅力があります。それまでの人生ならぬ「犬生」に裏づけされた、個性や強さを尊重しつつ、家族の一員として迎え入れ、信頼を築いていく。緊張感をともないますが、我が家にとっては有意義でエキサイティングで、楽しい毎日です。自分の環境のさまざまな変化を受け入れ、柔軟に対応しながらも、自己主張することも忘れない。なかなかどうして、したたかな面も持つトメさんはとても魅力的だと思います。過酷だったにちがいない犬生を送ってきたトメさん。よくぞここまで生き延びてくれたものです。トメさんが我が家で安心しきってたるみまくってデロ〜ンと横になっているのを見ると、とてもうれしくなります。無防備にヘソ天してお腹などさすってもらう彼女の顔は、まるで子犬のようです。
高齢、雑種、病気(フィラリア)持ちのトメさん。里親探しの弱点が三拍子揃っている子ですが、高齢とはいえ落ち着きもあって元気なので、これからも健康に気をつけていけば、うまくいくと、あと5,6年は生きてくれるかも知れません。当然、生きてもらうつもりです!それに、雑種で、親犬がわからない子は、想像力をかきたてられます。この耳のあたりはシェパっぽいな、とか、黒柴も入ってるかも、とか・・・。見ていて飽きないし、楽しいですよ。フィラリアについては、あまりよくわからなかったので、トメさんを譲り受ける前に自分でもいろいろ調べましたし、保護主さんに説明を受け、検診に連れていった獣医さんにも相談しました。結果、症状が落ち着いている限り、今の治療のやり方がやはりベストなのだと納得しました。何も面倒なことはありません。予防薬を月に一回、通年で飲ませて、今いる成虫の寿命を待つのです。若いワンちゃんだったら、手術や注射という治療法もありますから、どうか、これから里親になろうと思っている方、そんなにフィラリアを恐れないでください。
などと、いろいろ書いてきましたが、トメさんとの生活は、まだ始まったばかり。これから何があっても、絶対に最後まで一緒にいます。今までトメさんのために尽力してくださった多くのみなさんに心から感謝します。そして、どうかどうか、物言えぬかわいそうな動物たちが、これ以上増やされませんように。私にはたいしたことはできませんが、トメさんのことをだれかに聞かれたら、積極的に話していきたいと思っています。こういう子です、保護活動をしている人たちのおかげでうちに来た子です、とてもいい子です、と。
一見、私たち家族がトメさんを選んだように見えますが、人間にはわかりえない、深い深いところでは、トメさんの運命が、私たち家族を選んだのかもしれませんね。選んでくれてありがとう、トメさん!!
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