東京電力福島第一原子力発電所から流れ出た放射性物質が太平洋にどのように広がるか、文部科学省などがコンピューターを使って予測し、1年後には原発から4000キロほど東の海域に到達するものの、濃度は国の基準の3000分の1程度に薄まると予測しています。
文部科学省などは、放射性物質の拡散を予測するシステムを使って福島第一原発の事故で海に流れ出た放射性のセシウム137が太平洋に広がる様子をコンピューターで予測しました。画像では、太平洋を200キロ四方の範囲に分けて、海水の放射性物質の濃度が高くなるにつれて水色から濃い青に色分けされています。シミュレーションの結果、放出された放射性物質は、事故の1年余りあとの来年4月には、福島第一原発から4000キロほど離れた日本の東の海域まで到達すると予測しています。このときの濃度は最も高いところで、1リットル当たり0.023ベクレルで、通常のおよそ14倍に当たりますが、国の基準の3000分の1程度になると予測しています。その後、放射性物質は事故の3年後には薄まりながら拡散し、ハワイの北の海域まで移動し、5年後にはアメリカ西海岸に達しますが、7年後には通常の濃度と区別できない程度まで薄まると予測しています。シミュレーションを担当した日本原子力研究開発機構の中野政尚技術副主幹は「事故の1年後には、最も濃度が高い海域の魚を食べても、健康に影響がないほどまで放射性物質の濃度は薄まるとみられる」と話しています。