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【サッカー】

<目撃者>クウェート戦の教訓、今後に生かせ

2011年6月25日 紙面から

◇ロンドン五輪アジア2次予選

 のっけからの“公約違反”。指揮官の思惑、「2連勝」での突破は中東の熱風とともに吹き飛んだ。ただ、追いつかれ、追い越されたが、最後の「首の皮」だけは死守した。最終予選切符−。「内容はともあれ、苦しい中で、選手は歯を食いしばって最後までよくやってくれた」。関塚監督は安堵(あんど)の表情で選手をねぎらった。

 1点リードで迎えたハーフタイム。GK権田の掛け声で守備陣は最悪の事態を想定していた。

 「1点取られても3点取られなければいい。もし1点取られても、慌てないでいこう」

 ただ、それが現実になると「焦って動揺した」(MF清武)。持ち味のパスワークは消え、力関係も忘れてクウェートに合わせるようにロングボール一辺倒。FW大迫は「落ち着いて足元に出してくれれば」と唇をかんだ。劣悪な環境に、体力のみならず、思考能力まで奪われていた。

 試合開始から終了まで温度計が40度を下回ることはなかった。暑い。両軍とも戦術的な理由以外で選手交代を余儀なくされたのはデッドヒートの痕跡だ。東とGK安藤は前日練習後に熱中症でダウンし、MF山本康も体調不良に苦しんだ。だけど、「できない暑さじゃない」(MF山村)。他の選手も同じセリフを残した。ならば、なぜ? 難敵は20%を下回る低い湿度だった。

 協会関係者は言う。「高温多湿の試合はあっても、こんなに低い湿度の試合は今までないんじゃないかな」。関塚監督も「こんなに発汗しない暑さは初めて」とうめいた。水分補給しても体内の熱の放散が十分できず、動きの質は目に見えて低下した。指揮官は「日本サッカーの(その他の)各カテゴリーでも経験したことがないんで、対応を考えないといけない」と指摘した。

 チーム立ち上げから初の中東戦。最終予選では残り3カ国が「オール中東勢」の可能性も十分ある。暑熱対策をはじめとする環境対策、戦術、試合運び、意思統一…。2次予選でついた想定外の黒星。酷暑で流した冷や汗は乾いても、苦々しい教訓まで乾かしてはいけない。

 

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