gTLD (Generic Top Level Domain:世界共通で利用される分野別ドメイン)は当初7種類でスタートしましたが、その後順次拡大され現在は21種類となっています。
これまで、新しいTLD※を追加するためにはICANN※による厳しい審査を経る必要があるなどそのプロセスが非常に厳しく、事実上新たなTLDの追加はICANNによってコントロールされてきました。
しかし、2008年6月のICANNの理事会において新しいgTLDの導入プロセスを大幅に緩和する方針が承認されたことで、これまでより容易にgTLDが追加できる方向に進んでいます。
既存のトップレベルドメインに似ている等の不都合が無ければ、原則として新たなTLDの利用が可能となるため、今後はgTLDの種類が大きく増加することが予想されます。
- TLD(トップレベルドメイン)
「.com」「.jp」などドメイン名の最も右側の部分をトップレベルドメイン(TLD)といいます。
このうち世界共通で利用される分野別ドメインを「Generic Top-Level Domain(gTLD)」といいます。 - ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)
全てのドメイン名やIPアドレスを世界レベルで管理するため、1998年10月に設立された米国(カリフォルニア州)の国際機関。
gTLDの自由化と言われていますが、ICANNが「新たなTLDを運営するレジストリを募集する」という本質が変わるわけではなく、保護的に利用目的のないTLDを押さえたり、個人が自由にTLDを追加することができるようになるわけでもありません。
その意味で、大きく変わるのは以下の2点ということになります。
- 新たなTLDの申請について、その条件や審査が大幅に緩和される
- 募集の段階で新設されるTLDの数に上限を設けない
当初、一部の報道等で自由にTLDが取得できるかのような誤解を与えるものがありましたが、レジストリになるためには あくまで安定的な経営基盤や技術力、そして新しいドメインをどのように利用・運営するかというビジネスモデルが求められます。
新たなプロセスの目的や効果については、以下のような面があげられています。
- ドメイン名の多様化によるユーザーの選択肢の拡大
- 企業や団体等の広報戦略、営業戦略における活用
- 新規サービス(新規事業者)の参入による競争とサービス向上
- 信頼できるドメインの確立(「.bank」=銀行 といった用途)
- 既存のレジストリにとってはこれまでのノウハウやシステムが利用できるため、経営資源の有効活用やマーケットの拡大という点で大きなメリットがあると思われます。
企業による新gTLDの活用としては以下のようなケースが考えられます。
- レジストリとしてドメインを販売する
- 信頼性の高いWebサイトなどの運営
- フランチャイズや店舗など、販売網に活用
- 顧客向け、会員向けなどのサービス提供
- プロモーションでの利用など、認知度の向上
これまでレジストリとしての経験がない一般企業が新しいgTLDを運用するためには、以下のようなハードルがあります。
- 申請に必要なドキュメント(事業プランやポリシーを含む)の作成
- システムの構築・運用(Whoisサーバー、DNSサーバー、取得・更新のインターフェースなど)
- ICANNとのコミュニケーション
- プロモーション
マークアイでは、ノウハウのあるレジストラ、レジストリと連携し、gTLDの取得を検討されている企業を支援いたします。 何なりとご相談ください。
新たなプロセスのもと、500種類程度のTLDの申請があると予測されており、企業にとってはその保護が問題となります。
申請されたTLDがすべて承認されるわけではありませんが、新しいTLDがどのように利用され普及するかもわからない状況で、すべてを保護することは現実的ではありません。
また、「ICANNに商標権保護データベースを作ってすべてのgTLDがそれを参照する」といった商標保護のための新たなプログラムの導入も検討されており、これまでよりも侵害のリスクが低い可能性もあります。
いずれにしろ、これまでにない短い期間で大量のTLDが新設されることになるため、どのようなTLDが申請・承認され、どのように運営されるのか、また、それが自社にとって必要(有効)なものであるかを注視しておく必要があります。