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津波耐えた「奇跡の酒」 宮古・菱屋酒造店で復活
 | 23日に販売される宮古の地酒「千両男山」。従業員が手作業でラベルを貼り付けた=21日、宮古市日影町 |
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東日本大震災で被災した岩手県宮古市の酒造会社「菱屋酒造店」が造る日本酒「千両男山」が、23日から販売される。津波に耐え、ただ一つ残った貯蔵タンクの酒を、岩手県岩泉町の酒蔵が精製し「奇跡の酒」として復活させた。
菱屋は1852年創業。千両男山は、わき水を使ったすっきりした飲み口が特徴で、全国新酒鑑評会で金賞に輝くなど高い評価を受けている。 震災では、工場にあったタンク13基のうち10基が津波で流された。残った3基で無事だったのは1基(1万1000リットル)だけ。がれき処理などが一段落した今月7日、ようやく確認できた。 菱屋での精製は不可能なため、岩泉町の「泉金酒造」(八重樫義一郎社長)が請け負った。13日に殺菌のための火入れをし、20日に一升瓶800本、720ミリリットル瓶600本分を造り上げた。製造責任者の黒田秀さん(44)は「酒蔵仲間として助けたかった」と話す。 21日は、菱屋の斉藤鉄郎専務(61)の自宅で、純米酒「奇跡の酒 復活」とプリントされたラベルを、従業員が一本一本手作業で貼り付けた。23日から市内の酒店などで売り出す。一升瓶が2457円、720ミリリットル瓶が1155円。 菱屋の従業員6人は全員無事で、自慢の湧き水も枯れずに残った。工場に洗米機やボイラーを整備し、残ったタンクを再活用するなどして、11月中の製造再開を目指す。 11代目の三浦睦子社長(82)は「仲間の助けが力になった。今後もわずかな仕込みでもいいから、酒造りを続けたい」と意気込む。
2011年06月22日水曜日
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