東京都のソフトウエア開発会社「ソフトウエア興業」の関連会社を巡る脱税事件で、東京地検特捜部に逮捕された同社社長、丸山三郎容疑者(64)が千葉県の建設会社を経営していた無職、大石敏容疑者(63)に、水増しした社員寮工事費を自分に還流するよう指示していたことが分かった。大石容疑者は毎日新聞の取材に「手渡しで(丸山社長に)返していた」と証言し、特捜部にも同様の供述をしているとみられる。
特捜部は、かつての「長者番付」に度々登場し、複数の政治家との交友があるとされる丸山社長の脱税工作の解明を進める方針。
丸山社長は航空自衛隊員から大手電機会社に入社し、74年に独立して創業。ソフト開発の老舗として事業拡大し、製造や携帯電話などの大手企業を得意先に抱えるまでに成長させた。90年代後半から首都圏で社員寮整備も進め、現在では約20カ所を数える。
丸山社長の所得税額は04年まで3年連続で神田税務署管内のトップだったが、複数の同社関係者は「寮建設を隠れみのに不正経理を繰り返していた」と証言する。大石容疑者の会社が建設の多くを請け負い、水増し分の一部が「加担料」として流れていたという。大石容疑者は取材に「社長の指示だった」と認めた。別の関係者は「愛人に家や貴金属を買ったり、複数の国会議員との付き合いが自慢。『これは俺が(政治家に)提案して通った法案だ』と話すなどフィクサー気取りだった」と振り返った。【加藤隆寛、山本将克】
毎日新聞 2011年6月25日 2時32分