海外

文字サイズ変更

米国:バーモント原発、停止訴訟始まる 福島と同型、マーク1の今後左右

 【ニューヨーク山科武司】福島第1原発と同型の原子炉格納容器「マーク1」を持つ米東部バーモント州のバーモント・ヤンキー(VY)原発を巡り、同原発を運営するエンタジー社が、来年3月で運転を停止するとした同州の決定差し止めを求めた裁判が23日、同州ブラテルボロの連邦地裁で始まった。「期限切れ」のマーク1稼働延長の是非を争う全米で初のケースとみられ、判決は全米17原発で24基が稼働中のマーク1の将来を左右する可能性がある。

 エンタジー社は02年のVY原発購入時、地元バーモント州との間で運転免許が12年3月に失効することを確認する覚書を交わしており、同州上院は昨年2月、運転免許の更新を否決。州政府も運転延長を認めないことを決めた。一方、連邦政府の原子力規制委員会(NRC)は今年3月、20年間の稼働延長を容認。同社は4月、州政府の決定差し止めを求めて提訴した。

 地元紙によると、口頭弁論でエンタジー社の代理人は「原発の許認可権は連邦政府にあり、州の許認可は正当性がない」と主張。VY原発の電力は他の州にも送電されており「バーモント州だけにとどまる問題ではない」とも訴えた。

 一方、バーモント州側は、02年の覚書の存在などを理由に「連邦政府の権限侵害にはあたらない」と主張。「これまでも覚書の不当性を訴える時間はあった」として、エンタジー社が過去に何の措置も取らなかったことと、訴えとの矛盾を指摘した。

 地元紙は判決日程の見通しについて、7月上旬か、VY原発が稼働を続けるため核燃料棒の挿入を予定している10月前のいずれかとの見方を報じている。

 ブラテルボロでは22日夜、NRCが過去1年間のVY原発の稼働状態を住民に報告する公聴会が開かれた。NRCは「稼働状況は良好」と説明したが、約170人の住民の多くは「原発寄りの結論」などと批判した。

==============

 ■ことば

 ◇マーク1

 米ゼネラル・エレクトリック社が60年代に開発した初期型の原子炉格納容器。電球のような形状で、沸騰水型軽水炉を収める上部と下部にあるドーナツ形の圧力抑制プールが特徴。世界5カ国・地域に38基あり、日本には福島第1や敦賀、浜岡(廃炉が決定済み)など5カ所に計10基。米国24▽台湾2▽スイス1▽スペイン1。

毎日新聞 2011年6月24日 東京夕刊

PR情報

スポンサーサイト検索

海外 最新記事

海外 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画