(´・ω・)「さて、いきなり勉強不足がバレてしまったこのss。ようは主人公を博霊神社に相当期間滞在させればこと足りるわけなんでこの一話は差し替えます。やっぱり原作遵守が二次創作のアレだとおもうよね!東方香霖堂とか文花帖読んでくるぉ。決してブックオフで中古見つけたわけではないぉ」
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さて、神隠しと言う言葉を知っているだろうか。
俺は知らない。わからなければグーグルさんに聞いて欲しい。
まぁ言葉からある程度どのような現象かは推測出来るだろうと思っている。
あなたが思い浮かべた神隠しが正解だ。
さて、神隠しだ。この現代社会にはとても馴染めない上、すでに紙の上の幻想に近い神隠しに、驚くことに遭遇してしまった。
仕事の休暇に出掛けた東北バイク旅【温泉もあるよ】の途中に寄った、古びた神社で俺は遭遇してしまったのだ。
長年整備されずに放置された荒れた参道を登り、やっぱりメンドイ帰ろうと後ろを向いた瞬間、通っていた道が雑木林に変わってしまっていた。
もちろん焦った。そこらじゅうあても無く走り回り、泣きわめき、一晩経って疲れて寝てもやっぱり変わらなくて泣きわめき、携帯の電池無くなるわ、足痛いわ、明日の早朝仕事だわ、腹へったわとグチグチと誰に言うでも無く呟きながら歩き続けて林を抜けた。
腰ほどの高さの枯れた草が繁り、ぽつぽつと積み上げられたバラバラの高さを持つ石塔が立つ変な場所に来た。
ふと足元を見ると、そこには変なガラクタとしか言い様の無い木片を組み合わせた物。誰かが定期的に此処等に来てるのかとガラクタを手に取ると、達筆な筆で明治五年と書かれており、なんでやねん!と地面に叩きつけた。
枯れた草を分けて更に奥に進む。
虫が心配だがどうやら居ないようで、生命の気配が全く無いことに違和感を感じつつも除草剤でも撒いたのかと適当に理由を付け更に歩く。
足下にはゴミとしか思えない物や高価そうな品に車やバイク。果てには戦車なんてものもありここが只のゴミ捨て場では無いだろう事がわかった。
ふと、枯れた草がいきなり無くなる場所があった。
その奥は砂が広がり、空は厚く暗い雲が広がるまさしく無と言うような光景。
砂漠でも荒涼地帯でも無い。果たして日本にこんな場所があるのだろうかと不思議に思うよりも、もっと簡単な答えが口から漏れた。
「別世界だな・・・・」
そう、まさしく別世界。
ここは日本処か地球でも無い気がし、その答えに妙に納得してしまう自分が居た。
あぁ・・もう泣こう。
力が抜けしゃがもうとした体は、後ろからの声に止められた。
「それ以上進まない方が良いわよ。帰れなくなるのが嫌ならね」
若い女性の声にしゃがもうとした体を跳ね起こし、振り向く。
救助か!と期待して振り向いた俺は女性の格好を見て唖然とした。
巫女服とセーラー服を3:1の割合で混ぜた服にブーツ。頭に赤いリボンを乗せた、黒髪の女性だ。
半開きに口を開けながら唖然とする俺を見て、その女性は訝しそうに眉間に皺を作った。
「何?人の顔見てその顔しないでくれる?」
顔じゃ無くて格好ですとは口が裂けても言わない方が良いだろう。
こんな場所でやっと会えた人間だ。機嫌を損ねるのは愚者がする事である。
「あ、いや。やっと人と会えたと思って吃驚しちゃって・・えと、なんてお呼びしましょう?」
「霊夢よ。博麗霊夢。あんたは?」
「八事朝道(やごとあさみち)です。博麗さん」
「霊夢でいいわ」
「それじゃあ霊夢さん。大体予想付いてるんですけどここって日本じゃ無いですよね?」
1日走りまくって、歩きまくって、泣きまくった結論がこれである。
恐らくは古来日本に伝わる神隠しとやらに会ったのだろう。
自身も半信半疑な上に自分がラリッてしまったのかとまた泣きたくなったがこれが現実だとするとそれ以外の答えが見つからないのだ。
「ここは幻想郷。日本だけど日本とはまた違う隔絶された世界よ。朝道みたいな外来人もたまに入ってくるわ」
その答えに嬉しさが湧いてきた。
一応は日本。されど日本。しかも俺と似たような境遇の奴が居るとの事。
「帰れるんですか!?」
もちろんこちらに直結する。
帰れるなら今すぐ帰りたい。
家庭は無いが仕事がある。それを無視する事は出来ない。というか気付けば夕方だ。明日は仕事無理かもしれない。
「無理。月の周期ってのが合わなきゃ、外には帰れないわ。一応その先も外と繋がってるけど、9割の確率で外には出られないわ、というか死ぬわ」
えらく物騒な物言いをする霊夢さんにアハハと渇いた笑いが漏れる。
というか仕事クビで間違いなし。
社宅も処分。
帰る意味もあんまり無い。
「グス・・・・」
自然と涙と嗚咽が溢れ、その場にしゃがみこんで泣く。ひたすらに泣く。
昨日から泣き続けで目も真っ赤。しかも女の子の前だ。カッコ悪い。
「あっちに居るから。終わったら来なさい」
気を効かしてくれたのか、背を向け何処かに歩いていく。
恥ずかしい。恐らく女子高生位の女の子に気を使われたとか人生終わった感じがする。
だが今は思う存分泣いて、それから新しい人生(ニート)について想いを馳せさせようと思う。
とりあえず泣こう。
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無縁塚
それがあの枯れた草が繁り、生命の気配の無い上に風景には馴染まない多種多様な物が雑に放置された寂しい場所の名前らしい。
ここに来るまでの森――魔法の森というらしいが、そこは本来人間が入ると茸の胞子でラリッてしまうそうな。
どうして何も無かったのかはよくわからないし。霊夢さんも無事なんだし生きてるなら考えても無駄と言ってたので考えないようにする。
「そういえば、ここって誰も寄り付かないんでしたよね?霊夢さんはなんでここに?」
まばらに花弁が散る変な桜を横目に前を歩く霊夢さんに聞く。
先程から聞く事はあっても聞かれる事は無いし、適当に答えられて話が続かない。こっちが話題を振るしか無いのがこれほどキツいとは思わなかった。もちろん心細さや人恋しさから話が途切れるのが恐いというのもある。
「勘よ。ここに来た方がいいと思ったの。丁度知り合いに用事があって近くにいたしね」
まさかの答えに思わず口が開く。
勘。もし本当ならば少し運命を感じる物だが生憎運命なんてモノを信じるほど想像力が発展していない。・・が、見た限りではこの非常識極まるジブリみたいな幻想郷とやらならあり得る話だと感じてしまう。
「巫女さん・・でしたっけ?天啓とかですかね?」
「生憎うちの神社に祭神は居ないわ。行方不明なの」
さいしん・・?あぁ、神様か。神様もいるとはなんとも幻想郷らしい。
道中知らされた幻想郷事情はそれは奇っ怪で滑稽で、空飛んだりエネルギー弾撃ったりしなかったら信じられないようなモノだった。妖怪?神様?幽霊?何を言ってるだと言おうとした所で目の前にちっちゃい小鬼みたいなのが横切って言おうとした言葉を飲み込んだ。
さすが幻想郷である。常識が全く通じない。
「あぁー、歩くのダルいわね。朝道なんで飛べないの?」
生憎身一つで飛ぶ人間というのは、こっちにはドラゴンボールにしかいないのである。
「飛べるわけないじゃないですか」
「んじゃ捕まって。神社まで飛ばすわ」
ほいっ、とナチュラルに差し出される手を見て、一瞬何故?と首を傾げたがすぐに飛ぶから捕まれという事は察した。
だが、だが、この柔らかそうな手を握るのか?女の子の手を握るとか高校時代の彼女以来だぞ。しかも付き合った期間は1ヶ月。キスする前に別れました。
「早くして、置いてくわよ?」
あぁ、落ち着いて見れば霊夢さん超美人。コスプレみたいな格好で腋出てるのにすっげー似合ってる。
いや、待て落ち着け。期待するな。俺は直ぐに帰るんだから余計な未練を残すな。さぁ、霊夢さんの手を部長のハゲの手とか思えば握れ・・ハゲの手とか握りたくねー!
「いつまで唸ってんのよ!」
痺れを切らしたのか手首を握られる、次の瞬間、俺の体は空に浮かび上がった。
「のわぁぁぁぁぁあああ!!高い!恐い!速い!恐い!恐い恐い恐いぃー!」
強烈な重力と風を感じながら飛翔する躯。しかしそこに幼い頃夢見た気持ちよさなど無く、引っ張られて抜けるか千切れるかしそうな肩及び腕の痛さ+重力で気絶しそうになる。
いや、やばい。気絶する・・・・。
走馬灯も無く景色は暗転した。
霊夢さんマジ勘弁してください。
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目を覚ましたのはどこか旅館を思わせる10畳程の客間だった。
森の中をさまよったあげく腋出し巫女コス美少女に強制逆バンジーされたのは夢かと、今まで通りの生活を送れるのかと歓喜の余り起き上がってガッツポーズしようとしたところでボロボロに汚れたロンTの袖を見てしまい、上に突き出した腕を静かに布団の中に引っ込めた。
今日、仕事なんだけどな・・・・。
一縷の望みをかけて開いたポケット内の携帯電話を開くが、残念ながら電池が切れている。
改めて、俺の人生オワタと再確認した所で涙が溢れて来るが、涙が口に垂れた時感じた塩味で急に腹が空いてきた。
あっ、そういえば何も食ってない。
ぐるるると凶暴に鳴り響く腹の音を聞いて涙が止まっていることに気付き案外自分は現金な性格なのかもなと鼻で自嘲したあたりで、部屋の襖が開かれ、そこからなにやら布の塊らしき物体を寒そうな腋に抱えた巫女コス美少女――通称霊夢さん(人力逆バンジー名人)が姿を表した。
「入るわよー」
そう快活に言う霊夢さんの顔は昨日と少しも変わっておらず、相変わらずの無愛想。むしろこれが自然なのだろう。表情が出ない類の人なのだろうか?
「起きてるのね。んじゃ早いとこお風呂入ってきて。朝食にするから。浴衣ここに置いとくわ。下着は適当に持ってきたから」
早口に用件を伝え、持っていた布の塊を布団の横に置くと直ぐ様部屋を出ていく霊夢さん。風呂の場所教えて欲しかった。教えてくれれば至れり尽くせりの大パレードだ。
「お風呂、部屋出て左の突き当たりを真っ直ぐだから。分かんない事は自分で考えなさい」
至れり尽くせりだ。
そそくさと布団をたたみ、浴衣を持って風呂場へ急ぐ。何故ならば汗やら泥やらよくわからん物体が躯にくっついていたから。清潔好きな現代日本人としては気持ち悪さと臭さに耐えられない。布団は酷い事になってそうだが恩返しも含め霊夢さんのためにこの家?神社?を丸々掃除するというのはどうだろうか?
ミシミシと懐かしい日本家屋と同じ小気味良い音を鳴らす床をなるべく汚さぬように爪先で歩きながら風呂場へ向かう。
床まで届く暖簾の向こうにある木製の戸を横に引くとそこにあったのは湯気をあげる檜風呂(実際檜なのかは知らない)。
「おぉー」
思わず感嘆してしまう程に素晴らしい浴槽にこれから入るのかと年甲斐も無くウキウキしてしまったが、よくよく考えるとこの風呂には毎日霊夢さんが入っているのでは無いでしょうか?
泥汗埃に汚れた衣服を脱いですっぽんぽん状態で洗い場に立ち浴槽をじっと見つめる。
年頃の美人が毎日裸で浸かる風呂。
いやいや、待て、待つんだ。良心から風呂を貸してくれたというのにそんな下心を持っていいのか、いやそもそも誰も見てないし使って・・・・違う浸かってって違うだろ。今の論点は下心を持つか持たないか。心頭滅却。やはり恩人に下心を持ってはいけない。
高鳴る心臓と血流が送られ昂ってしまいそうな一部分を理性的に抑え込み、よしと手桶で湯気が出る湯を掬い上げ、頭から被る。
38度(多分)とてもいい湯だ。
シャワーは無く湯船か端の四角い形の冷水が出る場所から汲み上げた湯で躯を洗い、汚れを落としていく。垢擦り欲しいなー。と思ったらあったけど流石にこれを使ってしまったらもう後戻りができない気がしてしまい使うのを止めた。
こんないい風呂に入れるとかいいなと思ったら、そういえばバイクで温泉巡りをしている途中でこんな事になってしまったことを思い出す。
中古15万で買った俺のTW250。警察に持ってかれてそうだが生憎登記してないので前の持ち主に連絡が届くだろう。
友人に任せよう。
帰るまではここでのんびり恩返ししながら休暇と洒落こんで帰ったら実家に帰ってバイトしながら就活。考えたらなかなか良さそうな事に気付いた。
最悪農家を継げばいい。
かわいい嫁さん貰って子供作って穏やかな家庭を築こうじゃないか!
と開き直ったところで、今までの生活も楽しかった事に気付いてしまい寂しく思えてきた。
きついきついと愚痴を溢して来たが楽しくもあった職場だ。
今までと此れからという面倒な板挟みにあってしまった。
出来ればこの迷いだか不安だかわからない感情も幻想郷での生活で吹っ切れる事を祈る。
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俺1「霊夢さんデレさせたいんだけど」
俺2「お前俺の嫁はどうした」
俺1「うにゅほは尊敬する先生以上の物を書ける気がしないぜ」
俺3ガタッ「うどんちゃん行こうぜ!」
俺4ガタッ「待て!ゆかりんどうした!?」
俺5ガタッ「それを言うならばもこたんどうした!!」
友人「座れよ。ケロちゃんで万事解決じゃないか」
俺6「黙れ!フランちゃんで行けばみんな幸せ!!!」
悩んだ結果、霊夢さんデレさせようぜ?と決まる。
ちなみになまにく的には天子が一番好きだったりする。