「政府は基準値以上なら危険だから出荷停止、基準値以下なら安全と、デタラメな宣伝に躍起になっているが、根本的に間違っている。どんなに低い線量でも、汚染された食品を食べれば危険なのです。そしてヨーロッパでも福島の事故による放射性物質が検出された今、日本に安全と言い切れる食べ物は存在しません。危険があることを消費者が十分に認識したうえで、自分が口に入れる食品を選ぶべきであり、政府はそのための情報をこそ、国民に提供するべきなのです」
暫定基準値を上回るか、下回るかの二元論ではなく、より危険度の少ない食品を選ぶ「柔軟な取捨選択」こそ、今私たちに必要なことなのだ。ではいったい、どんな食べ物に注意が必要なのだろうか。
食卓を脅かす放射性物質は主に、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムの4つがある。特に懸念されるのが、爆発によって大量に飛散し、または汚染水によって海に大量に流出したと思われるセシウムとストロンチウムだ。
半減期が約30年とされるセシウムは、人体に入ると肺や肝臓、筋肉や骨に沈着し、DNAを傷つけて肺がんや肝臓がんなどの発症リスクを高めるが、その吸収率に、食物によって驚くほど違いがあることはあまり知られていない。例えばリンゴのセシウム吸収率を1として考えた場合、カラシナは39倍、サツマイモは33倍、ソラマメは12倍、ジャガイモは11倍、土壌からセシウムをより吸収する(上の表参照)。
逆にほとんどの果物は、1以下の数値だ。なぜこれほど吸収率に差があるのか。キーワードは「カリウム」という金属だ。セシウムは、農作物にとって必要なカリウムという養分と原子配列が似ているため、ある種の植物はセシウムをカリウムと勘違いして吸収してしまう性質がある。
新潟大学農学部の野中昌法教授が語る。
「一般的にカリウムを多く吸収するのが、大豆などのマメ科の植物、ホウレンソウなどのアカザ科の植物です。菜の花やヒマワリ、お茶なども吸収率が高い。カラシナやレタスなどの葉物野菜もセシウムを多く取り込みやすいとされています」
放射線医学総合研究所の調査結果によると、大豆はリンゴの160倍の吸収率であり、大麦も52倍に上る。覚えておいて損はない数字だろう。
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