徹底調査 放射線汚染食「食べてはいけない」マグロ、カツオ、麦、イモ、大豆・・・政府の言う 「暫定基準値」など、なんの指標にもならない

2011年06月24日(金) フライデー

フライデー経済の死角

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〔地図〕アトリエプラン

 そもそもこの暫定基準値は、IAEA(国際原子力機関)がヒロシマ、ナガサキの被爆者に対する健康被害を調査して作ったリスクモデルを参考にして作成したものだ。しかし、IAEAのモデルは原爆の外部被曝で肌に直接浴びた放射線量に焦点を当てた研究の結果であり、食品などを通じて体内に放射性物質を取り込む「内部被曝」には、単純に応用できないというのが専門家の共通認識である。名古屋大学名誉教授で、原子力資料情報室の理事を務める古川路明氏が言う。

「そもそも『年間何ミリシーベルトまでの被曝なら健康に影響がない』という明確なデータや基準値は現時点では存在しません。IAEAやWHO(世界保健機関)の統計すら、疫学的な調査の結果によるものではなく、信頼に足るものではない。それなのに安易に『基準値』という言葉を用いるのは愚かなことです」

菜の花、ヒマワリに要注意

 ベンジャミン・ディズレーリ元英国首相の、「世の中には3つのウソがある。ウソ、大ウソ、統計だ」という警句通り、私たちは暫定基準値を今一度疑う必要があるが、古川氏の警鐘も虚しく、日に日に国民の放射線への危機感は薄まっているように見える。

 東京都の浄水場の水から放射性ヨウ素が検出された3月下旬には、ミネラルウォーターが底を突くパニックになったのに、今ではそんなことを意識している人のほうが珍しい。「暫定基準値より下だから」と、頓着せずに食材を選んでいる人がほとんどだろう。その裏には、「ただちに健康に影響はない」という政府や御用学者のプロパガンダがあった。京都大学原子炉実験所の小出裕章助教が言う。

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