［国際］「トヨタの宿敵」ＡＢＣテレビがムロー賞、リコール報道で（2011.6.24 00:08）

　【ニューヨーク＝松浦肇】米国の卓越したテレビ・ラジオ番組に対するエドワード・Ｒ・ムロー賞に、トヨタ自動車のリコール（回収・無償修理）問題を放送したＡＢＣテレビの受賞がこのほど決まった。昨年はトヨタ問題でのロサンゼルス・タイムズ紙の報道も米ジャーナリズム界の最高峰であるピュリツァー賞の最終選考に残っており、“トヨタ批判”一色だった米メディアの状況が改めて浮かび上がった格好だ。

　受賞したのは「ビデオ継続カバー賞」で、トヨタ車事故の報道を根気強く続けた点が評価された。ただ事故原因については、ＡＢＣが問題視した電子制御システムの欠陥ではなく、床マットの不具合や運転者の誤操作だったことが、その後の米政府の調査で明らかになっており、ＡＢＣの報道姿勢を問う声も出ている。

　一方で米メディアの“トヨタたたき”が強まった背景として、トヨタ側のコミュニケーション不足を指摘する声もある。

　ムロー賞は第二次世界大戦時に特派員として活躍したロバート・Ｒ・ムロー氏にちなむ賞で、総合、特ダネ、特集などの項目別に毎年授与している。