きょうはいい天気でしたね。
さあ、前回の続きを書きましょう。
埼玉改援隊ののぼり問題を受けて、当選後、初めての議会で緊急質問が出され、いきなり大もめになりました。
その様子を聞いていて、感じたことをまとめ、以下のような記事を作成しました。

11日に閉会したさいたま市の臨時議会は、4月に当選したばかりの市議が公職選挙法違反容疑で書類送検され辞職したり、清水勇人市長が代表を務める政治団体「埼玉改援隊」のポスターやのぼり旗の掲出方法をめぐり緊急質問が出たりと、公選法が大きくクローズアップされた。その議論の中で浮かび上がったのは、選挙の要ともいえるPRの手法に関しては、「抜け道だらけで見事なまでにザル法」(ある市議)という実態だった。(安岡一成)
市議会で詰問
「そんなことで職務を果たしていると思いますか、委員長!」
10日、緊急質問に立った自民の青羽健仁市議は、村井勝美・市選挙管理委員会委員長を激しく詰問した。
青羽市議は、市議選の選挙期間中(4月1~9日)、確認団体ではない改援隊のポスターなどを市内で発見したとして、「公選法に抵触する可能性がある」と市選管に伝え、「自民党市議団長として」(青羽市議)善処を求めた。ところが、市選管は「青羽氏から抗議があった」と清水市長に報告しただけで、調査などは一切行っていなかったのだ。
また、無所属の吉田一郎市議は、清水市長が改援隊ののぼりの前で演説する写真を質問の中で紹介し、「これは違反か」と村井委員長に一つ一つ確認。こんな“弾劾裁判”のようなやりとりの後、清水市長に「どう責任をとるのか」と迫ったが、清水市長は一言、「埼玉改援隊としてはやっていない」とにべもない返事だった。
「誰でもやってる」
公選法違反の疑いがあるとして議会で追及されたのは、(1)改援隊が告示前に街頭に掲示した清水市長の顔写真入りPRポスターが、選挙期間中も撤去されず残っていた(2)告示後、改援隊推薦候補の陣営関係者が清水市長の応援演説を受ける際、改援隊ののぼりを手に持って掲げた-の2点。青羽市議は(1)、吉田市議は(2)について説明を求めた。
市選管によると、公選法では、改援隊のように確認団体でない政治団体は選挙期間中、ポスターやのぼりなどを屋外に掲示してはならず、団体の構成員が候補者の応援演説をする場合には、のぼりや立て札などは選挙カーに取り付けたものしか認められない。
この規定に沿って、村井委員長は(1)に関しては、ポスターなどは告示前に張ったものなら告示後に撤去する義務はないと説明。(2)については、「一般的に言って抵触する」と答弁した。ある市議は(1)について「バレなければやりたい放題だな」とヤジを飛ばし、(2)については、産経新聞の取材に多くの市議が「それくらいのことは誰でもやっている」と口をそろえた。
決議模索の動きも
市選管によると、市民からの通報を受けて選管職員が現場で事実を確認し、違反行為があれば指導を行う。それでも改められない場合は警察に通報するが、立件の判断は警察が行う。
違反の芽を摘むのが選管の役割だが、市議会で村井委員長は「改援隊について現認したものはない」と述べた。改援隊ののぼりが選挙期間中、違法に掲げられていたのは多くの市民が目撃しているだけに、「現認していない」とはプロの発言として妥当だろうか。
さいたま市での次の選挙は、予定通りならば平成25年の市長選となる。市議選以上に熾烈(しれつ)なPR合戦が予想されるため、一部会派では県警の選挙違反取締本部が解散するタイミングを狙って、公選法の抜け道を利用することなく節度ある選挙活動を行う決議案の提出を模索する動きもある。
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要するに、見出しの通り、「公選法はPRに関しては抜け道だらけ、ばれなきゃOKの世界」ということです。
それは、「正直者が馬鹿を見る」世界でもあります。
選管は、「違反があると市民から通報を受け、現場に急行し、その場で現認したものを注意し、警告を出し、それでもやめないなら警察に通報する」というスタンスです。
つまり、違反の芽をつむ役割を有しているのです。
なのに、記事にもあるとおり、「埼玉改援隊の旗については、違反を確認していない」というのです。
あのね、埼玉改援隊は告示日と最終日、もっとも人出のあるJR駅前を狙って街頭演説やったんだよ。
確認していないなんてあり得ますか?
なお、写真の青羽議員の写りがかっこよすぎるとの指摘もありました。これは奇跡の1枚です。
たまたま左斜めにいる議員に指さして「お前もそうか!」とか言ったときに写したものです。
だいたい質問者が執行部のほうを向いて質問するスタイルなので、普通に撮ったら顔が写らない。まったく記者泣かせです。
次の矢が飛んだところは、現職議員でもなく、市長でもなく・・・
なんと!!
落選した議員のところでした。
普通の落選議員なら記事にはならないのですが、
この人は北村市議の辞職にともない、繰り上げ当選の対象者だったのです!
なら、当然に注目度も高くなり、ニュースバリューもあがるってなものです。
その記事が、これ。

4月に行われたさいたま市議選で、公職選挙法違反の疑いで埼玉県警に書類送検された北村隆幸氏(42)=無所属、岩槻区=の辞職に伴い、繰り上げ当選の対象となっている前職で民主の高野秀樹氏(50)が、投票日後に書き込んだ自身のブログに、公職選挙法に抵触する恐れのある記述があることが分かった。ただ、同様の書き込みは他の市議にも見られ、今後、大きな議論に発展する可能性もある。
高野氏は自らのブログに、投開票日翌日の11日午前0時25分、「ありがとうございました」のタイトルで「応援いただいた皆さまには、心からのお礼とお詫びを申し上げます。とりあえずは、ご報告まで。」と書き込んだ。5月13日午後7時半時点で書き込みは残っている。
公職選挙法では、選挙期日後に当選、落選に関してあいさつする目的で文書頒布することなどを禁じており、違反した場合は30万円以下の罰金と規定している。
このため、一般的には「ご支持、ご支援をいただきました皆様に、心より御礼感謝の言葉を申し上げたいところではございますが、公職選挙法の規定上、御礼の挨拶を行うことが禁止されております」(三神尊志市議)のようなスタイルでつづるケースが多い。市選管は、高野氏の書き込みについて「一般的に言って、公選法に抵触する可能性が高い」としている。
市選管によると、高野氏の繰り上げ当選が正式に決定するのは20日。ただ、一部会派ではすでに、高野氏の議員辞職勧告決議案を提出する準備を進めており、市議会の混乱は必至だ。
高野氏は旧岩槻市議を経て、さいたま市議としては1期務め、4月の市議選では次点だった。
産経新聞の取材に対し、高野氏は「当選のお礼を述べてはいけないことは知っていたが、落選してもやってはいけないとは知らなかった。ただ、ほかの議員もやっている」と釈明した。
13日午後7時半の時点で、他のさいたま市議のホームページやブログでは、自民の鶴崎敏康市議が「ご支持・ご声援頂きまして誠にありがとうございました」と、公明の宮沢則之市議も「みなさんの、心からのご支援をいただき、2期目の選挙で、当選することができました。感謝!感謝!感謝! 大感謝!です」と書き込んでいるのが確認できた。
要するに、公選法では当選、落選にかかわらず、支援者に向かって「ありがとう」ということができない決まりらしいです。
私からしたら、社会通念を著しく逸脱したとんでもねえ悪法だな、と思うのですが、結局、次の選挙のための事前運動になってしまうというわけです。
落選した議員にまで禁じることはないだろうと私も思うので、
高野氏のコメントには心から同情致します。
しかも、確かにほかの議員も結構やっていることでした。
こういう取材をするときは予定稿を用意して、他社に追いつかれないように、
締め切り時間間際を狙って直撃するのが普通です。
このときは高野氏に取材するのは初めてで、最初は高野氏も私をかなり警戒していました。
一度は「答える義務はない」とにべもない返答でしたが、
私も「あなたに恨みがあるわけじゃない。悪法だとも思う。でも・・・」と誠心誠意をもって食い下がって話を続けていると、やがてうちとけあって、コメントを引き出すことができました。
最後、「これを機に、ぜひ今度、焼き肉でも食べましょう」と言ったら、「記事しだいだよ」という答えだったので、記事に不備のないよう、事実に間違いがないよう、私なりに何度も確認して執筆したつもりです。
そして、本日20日。
当選証書を受け取った高野氏を直撃しました。
すると、晴れ晴れとした表情で私を受け入れてくれ、
「正確に書いてくれてありがとう」との言葉をいただきました。
本当に、ある意味で攻撃をした相手から
感謝の言葉をもらえることほど嬉しいことはありません。
その後、小一時間、裏話に花を咲かせたのですが、その間ずっと心の中でうれし涙を流していました。
焼き肉も一緒に食べる約束もしてくれました。
高野氏は議員になる前はサンデー毎日の記者で、事務所には鳥越俊太郎氏とのツーショットもありました。
つまりは記者としては先輩。今後、イロイロと話を聞かせてほしいところです。
それで、本日、出稿したのは以下のような記事です。
これでこの問題は終了ですね。
元さいたま市議の北村隆幸氏(42)の辞職に伴い、繰り上げ当選の対象となっていた民主前職の高野秀樹氏(50)に20日、岩槻区役所で当選証書が手渡され、高野氏の繰り上げ当選が正式に決まった。高野氏は市議選で落選が決定した直後の4月11日未明、自身のブログに書き込んだ文面について、当選・落選についてのあいさつを禁じた公職選挙法に抵触するのではないかとの指摘がなされていたが、「今後は気をつける」と述べた。
この日、高野氏は午前11時ごろ、区役所で当選証書を授与された後、区内で産経新聞の取材に応じ「実は別の市議から指摘を受け、記述を削除しようか迷っていたところだった」と釈明。「不注意を率直に認め、今後は気をつけます」と語った。
高野氏の繰り上げ当選に絡み、一部会派ではブログの記述を取り上げ辞職勧告決議案の提出も検討していたが、ほかの複数の議員も同様の書き込みを行っていたことが発覚。
この会派の市議は「高野氏のみを追及することはできない」と話し、提出は断念したという。県警も、高野氏の記述に悪質性がうかがえないことなどから、事情聴取の実施も含めて扱いについては慎重に判断するとみられる。
高野氏の繰り上げ当選で、さいたま市議会の会派別人数は、自民20▽民主14▽公明11▽共産7▽改革フォーラム7▽無所属1-となった。
この問題で、「早くしろ!」などと私がド突き回した警察担当の清作左君も、最後はとてもいい取材メモを提供してくれました。
記事にちゃんと反映させてあるので、今後の励みにしてほしいです。
by 安岡一成
「きれいごとでもいい。語ろう…