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トランジションの応用
 
「ねーねー」

「何だ?」

「すきゃんてぃ、こーゆーやつをやってみたいんだけど」

「こーゆーやつ、って、どんなやつだ?」

「んとね、たとえば、文章があるでしょー? それで、途中で背景だけがトランジションして真っ暗になっちゃうの。んで、文字だけになっちゃうの」

「ふーん、なるほど」

「んでね、すきゃんてぃ、とちゅーまでスクリプト書いてみたんだなーこれが」

「見せてごらん」

[title name="タイトル"]\
[wc time=20]\
*start|スタート
[image storage="部屋の中.jpg" layer=base page=fore]\
それは、わたしが中学生の頃のことだった。[l]
夜中に一人で勉強していたわたしは、ふと寒気を感じると、問題集を解く手を休めて耳を澄ませた。[l]
どこからか変な声が聞こえてくる。[l]
[playse storage="変な声.wav"]\
[ws]\
[image storage="黒い画像.jpg" layer=base page=back]\
[trans time=2000 method=universal rule="trans1" vague=100]\
[wt]\
それは、人の声には思えないほど無気味なものだった。

(上記のスクリプト内ではわかりやすくするために
 それぞれのファイルを拡張子まで含めて指定していますが
 本来KAGではファイルの拡張子は不要です)

「ほ〜。ホラータッチのシナリオだね。それじゃ、実行してみようか」

「うん。トランジションもちゃんと掛かっているし、黒い画像になっているからいいんじゃないか?」

「だめだもん」

「何でだ?」

「すきゃんてぃがやりたいのは、これとは違うもん。文字はそのまま描かれてるんだけど、画像だけが消えて黒くなっちゃうやつだもん」

「なるほど。それをやるためには、[trans] タグの理屈をもう少し知っておく必要があるな」

「んぢゃーおしえてほしーもん」

[trans] タグには、今まで勉強した四つの属性の他にも、layer という属性と、children という属性がある」

「ふーん」

「この layer という属性を指定しない場合は、自動的に layer=base となり、背景レイヤーに対してトランジションが行われる」

「あれれー? んでも、今まではずーっと layer を指定しないできたのに、何で文字レイヤーがトランジションしたのかなー? 省略したら layer=base になるんじゃないのかなー?」

「その通り。だが、KAGの仕様の一つに、人物画像を描く前景レイヤーや文字を表示する文字レイヤーは、全て背景 (base) レイヤーの子供だという点がある」

「とゆーことわ、背景レイヤーがパパなのかなー?」

「そうだ。そこでパパはこう言う。『子供達よ、パパがやる通りに真似をしなさい』……そして子供達はそれに倣う」

「ふ〜ん」

「これはどうしてかと言うと、[trans] タグが持つ children という属性が、デフォルトでは children=true に設定されているからなんだ。これが true の時は、子供はパパの真似をする。false にするとパパ一人で実行する」

「なるほどー、わかったもん。つまり、[trans] タグで layer や children を省略しちゃうと、パパの背景レイヤーと、子供の前景レイヤーや文字レイヤーが全部まとめてトランジションしちゃうようになってんだねー」

「その通り。だから普通にトランジション効果を利用する場合は、layer や children は気にしないで、time、method、rule、vague の四つの属性だけを指定してやればいいんだよ。ちょっと凝ったことをしたいと思ったら layer と children も使えばいい」

「具体的にはどーすんのよもー」

「簡単さ。children=false を追加してやればいい。そうすれば前景のキャラクターや文字はそのままで、背景の画像だけがトランジションで入れ替わる」

「そーだもん! それをやりたいんだもん!」

「それじゃ、[trans] タグの行に children=false と書いてごらん」

「んーと……」

[title name="タイトル"]\
[wc time=20]\
*start|スタート
[image storage="部屋の中" layer=base page=fore]\
それは、わたしが中学生の頃のことだった。[l]
夜中に一人で勉強していたわたしは、ふと寒気を感じると、問題集を解く手を休めて耳を澄ませた。[l]
どこからか変な声が聞こえてくる。[l]
[playse storage="変な声"]\
[ws]\
[image storage="黒い画像" layer=base page=back]\
[trans time=2000 method=universal rule="trans1" vague=100 children=false]\
[wt]\
それは、人の声には思えないほど無気味なものだった。

「それじゃ、実行してごらん」

「それー」

(文字が表示されて……)

(背景の画像だけがトランジションで黒い画像に入れ替わって……)

(文字はそのまま!)

「やりたかったのはこれでいいのか?」

「そーだもん! んでもすごいねー! children=false をつけただけで、こんなこともできちゃうんだもん!」

「トランジションはいろいろと工夫すれば様々な効果を簡単に生み出せる。だから吉里吉里/KAGで画像処理をかっこよく行うには、[trans] タグの勉強は必須なんだよ」

「そんなに難しくもないし、面白いねー」

「他にやってみたいことはあるか?」

「んとねー、実わ、もーいっこあるんだなーこれが」

「よし。それじゃ、今日はもう一つだけだぞ」

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