腎不全を患っていた東京の内科クリニックの医師が、暴力団員に1000万円を支払って自分に移植する腎臓の提供を受けようとした疑いが強まったとして、警視庁は、医師や暴力団員ら5人を臓器の売買を禁じた臓器移植法違反などの疑いで逮捕しました。
逮捕されたのは、東京・江戸川区でクリニックを経営する医師の堀内利信容疑者(55)と妻の則子容疑者(48)、住吉会系の暴力団員、滝野和久容疑者(50)、内縁の妻の佐々木ひとみ容疑者(37)、元暴力団員の坂上文彦容疑者(48)の合わせて5人です。警視庁の調べによりますと、堀内医師は、おととし10月から去年4月にかけて、知り合いの滝野容疑者に1000万円を支払って自分に移植する腎臓の提供者探しを依頼したとして、臓器の売買を禁じた臓器移植法違反などの疑いが持たれています。警視庁によりますと、堀内医師は、腎不全を患って人工透析を受け、腎臓の移植を希望していましたが、親族の中に適した人がいなかったため、4年前の平成19年2月に日本臓器移植ネットワークに登録したということです。その後も、腎臓の提供者は見つからず、堀内医師は、滝野容疑者に依頼して提供者として坂上容疑者を紹介され、日本移植学会が認めている親族間の移植のように装うため偽の養子縁組を行って、去年6月に都内の病院で移植手術を受ける予定でした。しかし、滝野容疑者がさらに現金を要求したために交渉が決裂し、堀内医師は翌月の去年7月、愛媛県宇和島市の「宇和島徳洲会病院」で20代の男性から腎臓の移植を受けたということです。警視庁は、堀内医師が腎臓の提供者が見つからない焦りから、専門知識を悪用して暴力団員に仲介を依頼したとみて捜査するとともに、宇和島市での移植についても実態を調べることにしています。