企業への襲撃や暴力団の抗争が続く福岡県は今年の発砲事件が10件に達し、2位の東京都(2件)に大きく差をつけて全国最悪であることが警察庁のまとめで分かった。県警は容疑者逮捕に力を入れるが、事件は1件も解決していない。発砲は住宅地などで繰り返され、市民の生活が脅かされている。
2月には、北九州市小倉北区のゼネコン工事事務所で男が発砲し社員がけがをした。5月には福津市でゼネコン社員宅と福岡市の同社九州支店が銃撃された。20日にも久留米市の土木会社役員宅で弾痕が見つかった。
一方、指定暴力団の道仁会と九州誠道会との抗争とみられる事件も相次ぎ、3月には久留米市で道仁会系組員2人が乗った車に発砲され、8日には大川市の市道で誠道会系組幹部が乗る車が銃撃された。
捜査関係者によると、暴力団対策法の施行などで暴力団が抗争を自粛、発砲事件は全国的には減少傾向にある。2001年の216件が、10年は35件に減った。
しかし福岡県では資金提供を拒否する企業などを狙う襲撃が相次ぎ、地場大手企業のトップ宅に手りゅう弾が投げ込まれる事件も起きた。県警は、これらの多くは指定暴力団工藤会の犯行とみている。道仁会と誠道会の抗争も収まる気配はない。04-08年には計68件発生し5年連続で全国ワースト。09年は4件、10年は8件でいずれも全国2番目だった。
=2011/06/23付 西日本新聞朝刊=