2011年6月23日6時45分
戦後50年にあたる1995年、当時の村山富市首相がアジアとの歴史問題を踏まえて打ち出した「平和友好交流計画」の一環で開設された国内有数の韓国専門図書館が、財政難のため今月末で閉館する。蔵書約2万6千冊は、国内の大学など数カ所に分散して寄贈される方針だったが、研究者から「貴重な文献が散逸してしまう」と懸念の声が上がり、具体的な寄贈先はまだ決まっていない。
閉館するのは、財団法人・日韓文化交流基金(東京都港区)が運営する「図書センター」。オフィスビル3階にある基金の事務局に隣接する広さ約260平方メートルで、司書も常駐。学術・専門書だけでなく、児童書や大衆文化に関する書籍が豊富なのが特徴で、韓国映画のDVDもそろう。国の交流計画事業は2005年で終了したが、「韓流ブーム」を背景に、基金が独自に運営を続けてきた。
だが今年度になって、基金に資金を拠出してきた外務省から事務所費などの大幅削減を求められ、基金事務局が別のビルに移転・縮小することに。「やむを得ない措置」として図書センターの閉館を決めた。入館者が月約260人にとどまっていたことも、存続を断念した理由という。