LG another episode 01
こんな夢……見た事ないだろうか
夢の中で、会ったこともない少女が傍にいて、何故か俺はその子のことが大好きで、その子も俺のことが大好きで
でも最後はその子が空にさらわれて―――
泣きながら……目が覚める
でも今見ている夢は……いつもと違っていた。
天使を翼を生やした白いロボットが、さらわれたその子を連れ戻してくれるのだ。
その白いロボットは俺とその子が再会するのを見届けると、白い羽根を空に散りばめながら、それより高い場所に帰っていった。
俺は初めて涙を流すことなく……目を覚ました。
プロローグ「少年達が見た流星」
SIDE:智樹
みなさんおはようございます、俺の名前は桜井智樹、しがない普通の学生……でした。
何故過去形なのかというとちょっとこの前、空から降ってきた“UMA”を拾ったからなんです……。
「トモちゃん? さっきから何ぶつぶつ言っているの?」
幼馴染でお隣に住んでいる見月そはらが、俺を起こしに来たついでにとなりで朝ご飯を食べてる、そりゃあんた愚痴りたくもなりますよ、だって俺はごく普通、平穏で平凡な日常を望んでいるというのに……。
「あー! ニンフ先輩が私のウインナーとったー! ひどーい!」
「ふん! 早いもの勝ちよ」
「二人とも、喧嘩はやめて……」
なぜか我が家には“エンジェロイド”という三体もの未確認生物が住みついているのだ、ちなみに一番小さくて幼児体型で青空のような色をした髪をツインテールのようにまとめているのがニンフで、胸に栄養が行くあまり脳が可哀想なことになっている金髪の子がアストレア、そして俺が一番最初に拾った、感情表現があまりうまくなく、どこか抜けているボインちゃんでピンク色の髪の子がイカロスである。
「ずるいずるいずるいー!」
「ああもうしつこい!」
「……いいかげんに……!」
その時、喧嘩を止めないニンフとアストレアに業を煮やしたイカロスが背中の翼を広げ、彼女たちに向って追尾式のレーザー砲……アルテミスを放つ。
「やば!」
「危な!」
しかし二人は事前に危険を察知して横っ跳びで避ける。そして行き場のなくなったエネルギー砲は……俺に直撃した。
チュド―――ン!!!
「ギャ――!!!」
俺は吹き飛ばされ家の屋根を突き破り、そのまま空を飛んでいたジャンボ旅客機に激突して近くの山に墜落した……。
みなさん、これが俺の日常です、ひどいもんでしょう……え? ふざけんなって? 美少女ロボ+ボインな幼馴染に囲まれて生活ってそれなんてエロゲだと? じゃあ代わってくれよ! 二次元の壁を突き破れるならな!
「お前らはなんでいつもいつもそうなんだー!?」
数分後、イカロスに回収され戻ってきた俺は三人のエンジェロイド共に一人一発ずつ拳骨を食らわせ、長い長い説教を食らわせてやった。
「だってー、ニンフ先輩が私の大事にとっておいたウインナーたべるんだもーん」
「嫌いだから残していると思ったのよ、そうならそうと早く言いなさいよねー」
「……」
騒ぎの原因になった二人は全く反省している様子がない、対してイカロスは俺に危害を加えたことを反省しているのか、殴られた頭をさすりながらどこか落ち込んでいる様子だった。
「もう朝ごはんぐらいゆっくり食わせてくれよ! 今日はせっかくの日曜だってのに!」
そう言って俺は二階にある自分の部屋に戻ろうとする、その時……。
――ピンポーン
俺の家のインターホンが来客を告げる、まあ俺んちに用事がある人間なんてなんかの勧誘以外だったらほぼあの人だろう、俺は玄関にむかった。
「おはよう智樹」
「おはよう桜井くーん」
玄関にいたのは俺が通う学校の先輩、メガネビューティーの守形英四郎と、生徒会長の残酷ドS超人五月田根美香子だった、この二人は幼馴染であり、よくこうやって二人で行動しては、俺を非日常に引き込んでいく困った人たちだ。
「どうしたんですか先輩方? こんな日曜の朝から……」
「実はね~、守形君が面白いものを発見したそうなの~」
「少しニンフを借りてもいいか?」
一時間後、俺達は先輩達と一緒に自分たちの通う空美中学校の新大陸発見部の部室にやってきていた。ちなみに新大陸発見部とは守形先輩が発足した新大陸を発見する為の部であり、先輩の突拍子もない普段の行動(例:自分の作ったパラグライダーで屋上から飛び立つ等)のせいで無理やり入部させられた俺達まで変態扱いされているのだ。
「で? 先輩、新しい発見って何なんです?」
「うむ……これを見てくれ」
そう言って先輩は俺達にパソコンのモニターを見せる、そこにはいくつもの地球が宇宙空間に浮かんでいる様子が映し出されていた。
「なんですかこれ? 地球に見えますけど……」
そはらの何のひねりもない感想にこくんと頷く先輩。
「みんな……“パラレルワールド”は知っているか?」
パラレルワールド? 一体何を言い出すんだこの人は?
「パラレルワールド:ある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。「四次元世界」、「異世界」、「異界」、「魔界」などとは違い、我々の宇宙と同一の次元を持つ。並行世界・平行世界と訳される。並行宇宙や並行時空といった呼称もよく使われる」
はいイカロスさん説明ありがとう、俺には半分もわからなかったし、この説明ほぼWI○Iのコピペじゃねえか、手抜きすんなよ。
「つまり……この世界のお前はイカロスを拾ったが、並行世界ではイカロスを拾わず普通の日常を送るお前がいるということだ」
マジっすか!? 俺が複数いるってことはおっぱい揉み放題じゃん!
「今トモちゃんエッチなこと考えてた……」
「新大陸のことを調べていくうちにそのパラレルワールドの存在を知ってな……だからお前たちを呼んだ」
「? なんでです?」
そはらはイマイチ状況を把握できていなかったが、俺はこの人との付き合いが長いので何を企んでいるのか解ってしまった。
「ああ……そのパラレルワールドにも新大陸があるのかもしれない、その調査のためお前たちの力で俺をパラレルワールドに連れてってくれ」
その日の夜、俺達は神社そばの大桜に集合した、そこには先輩自作のなんか物々しい巨大な機械が置いてあった。
「せ、先輩……なんですかコレ?」
「これか、これは時空転移装置、イカロスのカードで作ったんだ。」
「うふふ、ほんと守形君は面白いわね~」
いやうふふじゃないですよ会長、あんたも止めてくださいよ巻き込まれるのは俺達なんですから……あ、この人は面白がって絶対止めないだろうな。
「というわけでニンフ、今からこの機械を起動するからサポートを頼む」
「はいはい、はあ……めんどくさいわね……」
ニンフはブチブチ文句を言いながらも、機械に備え付けてあったキーボードをいじり始める。すると機械はゴゴゴとうなり声をあげて起動した。
「よし、それじゃ行ってくる」
藁帽子に荷物の入った風呂敷袋を担いでいるお前それいつの時代の旅人ルックやねんって感じの恰好をした守形先輩は、俺達にびしっと敬礼した後その機械の中に乗り込もうとしていた。
「だ、大丈夫ですか先輩!?」
「失敗したら骨はちゃんと拾ってあげるわ~」
本気で心配するそのらと、半笑いでハンカチを振る五月田根先輩、ほんとこの人ひっでえな……
ボフンッ!
その時、突如機械は煙を上げた後、そのまま機能を停止してしまった。
「む? おかしい……故障したのか?」
「変ねえ、私はちゃんと手順通り起動させたわよ?」
予想外の事態に首を傾げる先輩とニンフ、なんだ? いつもならここからなんかしらの騒動が起こるのに今回はここまで? 作者のあとがきが入るの? いやっほう! それはそれで寂しい気もするがラッキーだぜ!
「マスター」
その時、後ろにいたイカロスが俺に話しかけてくる、どういうわけか彼女は戦闘モードに移行して臨戦態勢をとっていた、隣にいたアストレアも同様である。
「な、なんだよ、まさかまたシナプスが来るのか?」
「いや……なんかちょっと違うみたい、あそこを見て」
俺はアストレアが指を指した方角を見る、そこには空ある一点を中心に捻じれていく光景が広がっていた。
「な、何あれ……!?」
「俺が知るかよ!」
「気を付けてください、何か巨大な物体が……」
その時、その捻じれた空間から人の形をした巨大な何かが落下してくる、そしてそれはズドンと大きな音を立てて誰もいない地面に落下した。
「うわ!」
「あらあら、何かしらねあれ……」
「調べてみましょう!」
イカロス、ニンフ、アストレアはすぐさま翼を広げて飛び立ち、落下してきたロボットのもとに向かう。俺たちもすぐさま階段を下りてグラウンドに向かう。
「アルファ、このロボット……」
「はい、この世界には該当するものが存在しない技術、素材が使われています」
「生命反応もしますよ!? これって人が操縦しています!」
倒れているロボットに近づき解析を始めるイカロス達、そして後からやってきた守形先輩もロボットに直接触れて調査を開始する。
「面白い……これは恐らくシナプスでも使われていない技術だな」
「そこまでわかるんですか!?」
「ああ、あれを見ろ」
先輩の視線の先には、ロボットの手に握られていたライフルのようなごつい銃があった。
「明らかにシナプスの連中とは違う意向で作られている兵器だ」
(じゃあこれもイカロス達みたいな……!?)
俺の頭の中に過去のイカロス達の戦いが次々と浮かんでくる、その時……ロボットの胸が突然開いた。
「!? 誰か出てくる!」
「マスターは下がってください」
イカロスは俺達を自分の後ろに来させると警戒モードを上げる。
そしてハッチの中から……緑のランニングシャツに短パンという格好の、俺と同い年ぐらいの男が出てきた。
「くっ、どこだここは……? 確か俺はゼロを太陽に捨てに……」
その時男は空を飛ぶニンフとアストレアを見て、とっさに持っていた銃を持って構える。
「あ、あの人銃を!?」
「なんだお前たちは、ここはどこだ、俺をここに連れてきたのはお前たちか?」
銃を構えたまま叫ぶ少年、その時……アストレアの後ろにいた守形先輩が一歩前に出た。
「守形先輩! 危ないですよ!」
「大丈夫だ、待っていろ」
そして先輩は銃を持つ少年に話しかける。後ろにいたイカロスに目配せしながら。
「君は何者だ? そのロボットは一体……」
「質問をしているのはこっちだ」
少年は相も変わらず守形先輩に銃を向け続ける、その時……。
「うっ……!」
突如少年は苦しみ出すと、そのまま前のめりに倒れてしまった。
「!? 倒れたぞ!」
ニンフがすぐさま駆け寄り少年の容体をみる。
「どうやら落下の衝撃で軽く脳震盪を起こしているわね」
「た、大変! どこかで休ませてあげないと!」
「それじゃ桜井くんの家でいいんじゃない? ここから近いし……」
「ちょっと!? さらっと俺に厄介事押しつけようとしてません!?」
「仕方がないだろう、とにかく行くぞ」
守形先輩はそう言うと気絶した少年を背負い、俺の家の方へ歩き出した。ああ……また俺の所に得体のしれないものが居候するのか……でもまあ今回のは人間っぽいからマシか。
ふと、俺はこの白いロボットが落ちてきた場所が、かつてイカロスと出会った場所と同じだということに気付いた。あの出会いがあったから今日までの騒がしい日々が始まったんだっけ。
「……不思議な縁だな」
「トモちゃんどうしたの? 早く行こう」
「わかった、ほら行くぞイカロス……イカロス?」
SIDE:イカロス
マスターが少年を家に連れて行こうとした時、ふと私は少年が乗っていた白いロボットを見た。
「白いロボット……………………機械人形…………………………………月光…………………………ロスト…………………………………」
そのロボットのエメラルドグリーンの瞳を見た瞬間、私の中のメモリーの奥底に眠っていた何かが目覚めようとしていた。
――キィィィィィィィン
ノイズが混じった世界、そこで私は巨大な何かと戦っていた。
相手は私なんかじゃ敵わない、圧倒的な戦闘力を有していた。
“それ”は私だけじゃなく、シナプスの本拠地までもその背中から生える蝶の翼で徹底的に破壊していった。
自分たちにはどうすることもできない力に蹂躙され、逃げ惑い泣き叫ぶシナプスの住人達、彼らはとても後悔していた「ああ、我々はなんて愚かなことをしてしまったのだろう、あれは自分たちにどうこうできるものじゃなかった」と。
“それ”は怒りを露わにしていた、いたずらに命を奪い、玩具にしてきた愚かな天使達に対して。
“それ”は怒りを露わにしていた、大量破壊兵器である私に対して。
“それ”はボロボロで動けなくなった私に向かって、何もかも焼いてしまう光の剣を振りおろそうとしている。“それ”は私の存在を消し去ろうとしているのだろう。
私はそれでもよかった……このまま命を奪い続けるぐらいなら、いっそ奪われたほうがいいと思ったから。
そして振り下ろされた光の剣は私を……。
「おーい、どうしたんだイカロス?」
マスターの一言で私は過去の世界から連れ戻される。私の目の前にはいつものようにマスター達が、仲間のエンジェロイドたちが、そして彼らに背負われている意識を失っている白いロボットのパイロットがいた。
「すみません……ボーっとしていました」
「そうか? とにかく早くここから離れるぞ、辺りが大分騒がしくなってきた、警察に説明するのもめんどくさいしなー」
「はい……」
そして私は破片を握りしめ、マスター達と共にその少年を連れて我が家に帰って行った……。
さて、今回はここまで、次回は智樹が少年を連れて大暴走する回です。
スパロボでウィングガンダムのツインバスターライフル(MAP)+祝福にはいつもお世話になってます。
テッカマンブレードも出れたんだしそらのおとしものも参戦できるんじゃないでしょうか? 無理か。