2011年6月23日 21時8分 更新:6月23日 21時22分
菅直人首相は23日、沖縄県糸満市で開かれた「沖縄全戦没者追悼式」に出席した後、「私がやらねばならない課題は復旧復興、そして原発事故の収束。全力をあげ、燃え尽きる覚悟で取り組んでいきたい」と、延長国会への意気込みを記者団に語った。続投への強い意欲を示したとも取れるが、「燃え尽きる」との表現に首相周辺からは「会期末までの退陣を覚悟しているのではないか」との観測も上がった。
会期延長で延命した首相は依然、退陣時期を明確にしていない。22日夕、衆院で延長が議決されると、首相は民主党の輿石東参院議員会長を官邸に呼んで政権運営への協力を要請。党執行部と溝が生じた首相に対し、輿石氏は皮肉を込めて「思ったようにやればいい」と応じた。
首相は同日夜、東京都内のホテルに集まった約30人の菅グループ議員と合流。機嫌良く「みなさんのおかげでここまで来た。70日間、しっかりやろう」と呼びかけた。会合後、記者団には「やらなきゃいけないことはしっかりやりたい」と述べ、再生可能エネルギー固定価格買い取り法案の成立などに強いこだわりを見せた。
首相周辺は「本人は9月以降も自分が首相をやっているとはさすがに思ってない」と解説する。しかし、自民党の山崎拓前副総裁は23日の派閥会合で「与党の大物政治家(国民新党の亀井静香代表)と昨晩懇談したが、彼のご託宣は『8月末に首相が衆院解散を断行して延命を図る可能性がある』ということだ」と語った。政争の節目で頻繁に首相に助言する亀井氏が「8月解散説」を流布していることが披露され、粘る首相への与野党の疑心暗鬼は募るばかりだ。【田中成之、高橋恵子】