アダルトチルドレンの問題



ひと言でACといっても、それぞれの成育家族の状況や、個々人のパーソナリティは異なるので、依存症の有無、暴力の問題の有無、鬱病や心身症など症状の有無、ひきこもり状態の有無、就労の可否、(自分が親の側になっての)子供との関係・・・等、具体的に誰がどのような困難を抱えているかは、必ずしも一様ではありません。
ただそうしたことの一方で、私たちACの多くが共通して持っている幾つかの問題があり、それには以下のようなものがあります。

先取り不安と時間感覚の障害
まだ起っていない“悪い未来”への不安に縛られてしまう。また「自分の将来に待っているのは悪い未来ばかり」としか思えな い。
見捨てられ不安
“良い子”の自分でいないと、好きな人から嫌われてしまうし、もう他の誰からも愛してもらえないと思う。
マインド・リーディング
相手の言動や表情から「自分はイヤがられている」「私がこの人を不快にさせてしまった」などの“悪い答え”ばかりを引き出し てしまう読心術。
承認欲求と愛されたい願望
「認められたい」「愛されたい」という他者への過度の欲求で、自分自身が混乱してしまう。
テスティング
相手を困らせたり不快がらせる言動をわざとして、自分への愛情度を測る「試し行動」。
親密感と距離感の問題
他者との関係が、くっつき過ぎか離れ過ぎかのどちらかになってしまい、互いにとっての適度な距離感が実感できないし、維持できない。
対人恐怖
むしろ相手との関係が親密になってゆく過程で出て来る問題で、表面的な関係では極度な対人緊張 として感じる。
自他の境界線の問題
他者の感情や行動上の問題に、自ら巻き込まれてしまう。また逆に自分の 感情や行動へ相手を巻き込んでしまう。
白黒思考
「誰からも愛されている」か「誰からも嫌われている」か、そのいずれかだけというように、自分の中にいつも二者択一の選択肢しかない。
完璧主義
白黒思考と似たオール・オア・ナッシング的な考え方で、「全ての準備」 や「成功への約束」が整わないと、“何もしない完璧主義者”になり易い。
パワーゲーム思考
人間関係を「優・劣」「上・下」「勝ち・負け」の尺度で見てしまう。しかも多くの場合、自分が「劣」「下」「負け」側になっている。
自己主張の問題
嫌なことを「イヤ」と相手に言えなかったり、正当な欲求や要求を「自分のわがまま」だと思い込 んでしまい、言葉にして伝えることが出来ない。
責任感の問題
「この場をつまらなくさせているのは自分が居るからだ」など、過剰で不要な責任を感じてしまう反面、果たす必要がある責任を放棄してしまう。
自分の感覚や感情への不確実感
「嫌だ」「好きだ」と感じた自分の感覚や、怒りなどの自分の感情に、「そう感じた通りで正 しい」という実感が持ちにくい。
怒りの感情と、その表現の仕方(伝え方)の問題
淋しさの感情 と、その感情との“つきあい方”の問題
問題自体の否認やコントロール欲求の強さ・・・など


しかしこれらは決して、あなたの性格や人格の“異常さ”や“未熟さ”の問題ではありません。「ダメな性格」などというものは存在しないのです.

性格や人格を“矯正”したり“変容”して「ふつう(以上)の人」になること、それが回復なのではありません。問題は私たちACが身に付けてしまっているこのような思考や行動のパターンが、自分自身を生き辛くさせていることに あります。

ただ、このような思考・行動パターンを身に付けたことを、自分のせいにする必要もまたありません。そうした思考や行動パターンの 原型は、機能不全家族の中で、あなたが生き残って成人してゆく時、選択の余地無く身に付けざるを得なかったものだからです。