アダルト・チルドレン(AC)について



◆アダルト・チルドレン(AC)とは何?  

アダルトチルドレン(AC)は、1980年代初頭、アメリカのアルコール依存症における臨床の中から生まれた言葉で、「アルコール依存症の問題を抱えた家族の中で成長した大人」(ACoA:AC of Alchoholics)を意味していました。しかし日本では、アメリカと比較すればアルコール依存症者の人口比率が低いせいもあって、私たちはこのAC概念を、ACOAも含め「機能不全家族の中で成長した大人」(ACOD: AC of Dysfunctional Families)の問題として捉えています。すなわちACとは、子供時代に主に親子関係の中で心の傷を受け、この心の傷が癒される時期が無いまま成長し、その影響で現在も“生き苦しさ”に悩んでいる成人を意味しています。

◆機能不全家族の状況とAC


機能不全家族の状況は様々ありますが、アルコール・薬物・ギャンブル・仕事など依存症の問題以外に、身体的・心理的・性的な子供への虐待、また反対に子供への過度な「期待」や「侵入」(“過保護”などと称される)、夫婦間の暴力や著しい不和あるいは共依存関係その他、いずれも親自身が情緒的に未成熟・不安定である場合に、こうした機能不全の状況が生じます。

親が情緒的な問題を抱えて、身勝手な振る舞いに子供を巻き込んだり、また一方的な価値観や信念を子供に負わせ続けた場合、子供は親の苦しみや期待に縛られ、親の意に添う生き方をいつの間にか選ばされて、自分本来の人生を生きることが出来なくなってゆきます。

◆ ACという言葉について


ACという言葉は、精神医療の対象となる病名ではないですし、「未成熟なオトナ子供」を意味する社会的なレッテルでもありません。
自分が「ACである」と自己認識することによって、それが「もうひとりの仲間」と出会うきっかけになったり、何が自分を生きづらくさせているのかに気づき、勇気をもってそれと向かい合い、回復と成長のプロセスにつながることが出来た時、ACを名乗ることはたいへん有効でしょう。ACは本人の自己申告(自覚)の言葉です。

ですからACを名乗ることが、もし自らの意思に反することだったり、むしろ自己肯定感を育てる妨げになることなら、誰かに強いられて名乗る必要は全くありません。  またACの自覚に実年齢(身体年齢)は関係ありません。インナーチャイルド(自分の中の子供)が癒される必要があるからです。