09TOKYO2277
発信地:東京 日付:2009/9/29 分類:秘
「キャンベル次官補の薮中事務次官との会談(9月18日)」
1.要約:薮中三十二・外務事務次官との9月18日の会談で、カート・キャンベル次官補は、日本の民主党が政権党の役割に定着するなか、緊密な米日の協議の重要性を強調した。この時期における米日の高官レベルでの連携が、オバマ大統領の11月の訪日と来年の米日安全保障同盟の50周年の成功を確かなものにする。キャンベル次官補は、米国は、円滑な米日関係の維持に努めると強調した。
2.続・要約:米日間における核「密約」の真相を調査する岡田外相の計画について、キャンベル次官補は、米国は関連書類を公表しており、これ以上のコメントをするつもりはないと繰り返し伝えた。彼は、その問題に集中することは、米軍の運用上の影響がありうると警告した。地域問題について、キャンベル次官補は、いかなる米国と北朝鮮の二国間会合の目的も、北朝鮮の6者協議復帰を促すことにある、と発言した。とはいえ、米国は国連安保理決議第1874号の実施を続けるし、他国の実施を歓迎する。米国はビルマへのより積極的な関与を始める予定で、この政権への圧力を維持するための日本の協力を期待する、とキャンベル次官補は述べた。11月の大統領訪日を念頭に、キャンベル次官補は、日本の新政権が過去の政策を再検討するとはいえ、新しい関与(イラン問題での協調、アフガン/パキスタン)を打ち出すことが極めて重要になると発言した。薮中は、米日は大局を見失わないよう集中しなければならないと同意し、気候変動のような分野は協調の新しい機会になると述べた。要約終了。
日本の(政権)移行について
3.鳩山・新首相と元野党の民主党による日本の政権移行について、キャンベル次官補は、米国は公的に日本の新政権に信任を与え、政権移行期での強い支持を表明する、と述べた。米国は民主党の綱領(例えば、より自立した日本の外交政策、より緊密な中国との関係など)への支持を公的に表明する。同時に、米国は新政権の発するメッセージを集中して解釈する。彼は、国連総会に合わせての米国大統領の鳩山首相との会合や、スタインバーグ国務副長官やゲーツ国防長官、グレッグソン国防次官補の訪日を含め、米国はこれからの数週間で日本との連続的な高官レベルの交渉に臨むと付け加えた。これらの会合の目的は、(日本の)新政権の考え方に耳を傾けることと、我々自身にとってのフィードバックを準備することにある。とりわけ、日本におけるかつてない政権交代のまっただ中での集中的な会合は、オバマ大統領の11月の訪日が成功することと、来年の米日安全保障同盟50周年の準備をすることを目的としている。
4.キャンベル次官補は、この政権移行期に、民主党からの異なる幅広い見方や、二国間問題や国際問題に関する大量の報道に接することができるものと米国は期待している、と続けた。さらに、民主党からはすでに多くの人がワシントンを訪れ、民主党を代表する立場から意見を述べてきた。キャンベル次官補は、これまでに民主党が出した提案のいくつかは、米日関係の負担になるのは間違いないが、これらの諸問題をうまく調整することの責務はキャリア外交官にかかっており、それぞれが臨機応変に対処せねばならない、と述べた。
5.薮中事務次官は、現在の政権移行は極めて大事な時期であり、慎重に取り扱わねばならない、と同意した。日本が疑いなく世界における経済的、政治的な大国であるのに比して、国内には、日本が対等に扱われていないという感覚があり、民主党はそれを政治的に利用した、と彼は論評した。オバマ大統領と鳩山首相がニューヨークで会うとき、米日関係の基盤(例えば、日本が米国政策のアジアにおける礎石である点)を再確認することが重要になる、と薮中は言った。首相と外相の両方と信頼を築くことが重要だ、と薮中は付け加えた。
核の歴史
6.米日間のいわゆる「密約」を調査するという岡田外相の関心について、米国は既に関連書類を情報公開法(FOIA)の請求で公表しており、既存の公開情報に米国が新たに追加できるものはほとんどない、とキャンベル次官補は発言した。(日本の)外務省が独自に情報収集しても、米国はコメントしないことがベストだろうとキャンベル次官補は言った。米国としては、この問題が、同盟の助けにならないような形での対応を米国が取らざるをえないような状況を生み出さないことを望んでいると、彼は強調した。第三者を入れる形式よりも、外務省自身に調査する権限を与えたことで、岡田は外務省への信頼を示したのだと、薮中は発言した。いずれ外部機関が史料を吟味することにはなるが、外務省が組み込まれたことは前向きな兆候だと、薮中は言った。歴史の再調査は単なる分析にすぎないが、本当の問題点は、これらの調査結果が現状に及ぼす影響であり、慎重に取り扱われなければならない。
北朝鮮
7.キャンベル次官補は、北朝鮮と6者協議に関する、ボズワース大使とキム大使の最近の日本、中国、韓国、ロシアとの会談を再検討し、いかなる北朝鮮との外交も6者協議の文脈で理解されなければならず、北朝鮮の核武装は容認できないという共通の認識があると言った。その上で、複数の対話相手が、北朝鮮との間で一体何が前進できるのかとの懸念を表明したことにキャンベル次官補は留意した。ボズワース大使とキム大使が北朝鮮側と二国間で会うのであれば、それらの会合は北朝鮮に6者協議への復帰を促すものになる。それに加えて、米国は完全かつ明確に国連安保理決議第1874号の実施を続け、一部の国々は制裁を実施する段階にある、とキャンベル次官補は述べた。薮中は、北朝鮮に関する引き続いての緊密な連携、特に決議1874について感謝の念を示し、米国の政策への日本政府の支持を表明した。
ビルマ
8.ビルマについて、キャンベル次官補は、米国は制裁を維持しながらも、この政権へのより深い関与を始めると発言した。新政策を採用するにあたり、米国はかつての孤立戦略は失敗に終わり、米国は「ゲームに参加する」必要があると結論づけた。北朝鮮が最近になって国連安保理決議第1874号の影響でいくつかの中東地域の顧客を失ったのと同じ時期に、北朝鮮とビルマの軍事的な協調が増している。この観点からも、ビルマへの圧力を維持する上で、米国は日本の協力を必要としていると彼は発言した。
大統領訪問
9.オバマ大統領の訪日が成功裏に終わることは重要だとキャンベル次官補は強調した。新政権が、様々な点から旧来の政府とは異なる立場を取ろうとしていることは、米国は理解している。双方が機敏に動く外交が必要だ。例えば、米国は、イランにおける日本とのより緊密な協調や、アフガニスタンとパキスタンへの新しい開発援助の可能性を探ることになる。この文脈において、日本政府は単に「ノー」と言うのではなく、反応を見せることが重要だ。
10.薮中は、米国と日本が、個々の二国間関係でのささいな点にかかりきりになるのではなく、大局を見ながら連携を維持するべきだとの考えに同意した。鳩山首相は1990年比で25%の温室効果ガス削減を打ち出し、この政策はおそらく前進するだろうと彼は言及した。米国と日本の環境技術は世界の最先端なのだから、これは協調の機会となりうる。アフガニスタンについては、薮中は言質を与えなかったが、日本政府はできることをやる、と話した。
11.キャンベル次官補は、この公電内容を確認済み。
ルース
※以下、新聞各紙の引用の訳が添付されている(略)