6月15日(水) 今週はなぜかNHKの朝の連ドラ(正しくは「連続テレビ小説」)「おひさま」を毎日見ている。台詞過多・思わせぶりだがわかりやすい演技・一方向のメッセージ…等特徴は3度も見れば理解できるが続けて見ているとあることに気付く。これは「(過去の)時の流れ」の表現であり視聴者もまた「(現代という)時の流れ」に生きていることを気付かされるのだ。せやからどないやちゅうねん…と言われてもタダそれだけのこととしか言えませんが武満の音楽みたいなものでFrom TV-drama flows what you call time.というわけですね。しっかし何故「連続テレビ小説」なのか?「テレビドラマ」とどう違うのか?そもそも「テレビ小説」というジャンルはどんなものか?「連続新聞小説」は誰も読まないのに続いているが「連続テレビ小説」は(まだ)多くの人に見られているのは何故か?結構いろいろテーマは考えられるけどそれを取材し考え文章にするにはまず「連続テレビ小説」を見なければならないというのがネックやなあ(笑)。連ドラのあとRKB毎日放送でプロ野球の統一球と飛ばないボールと飛ぶボールについて話してチョイト仕事のあと昼鎌倉芸術館小ホールへ。次女の同級生でもあるピアニストの川田健太郎クンのコンサートを聴きに行く。モスクワ音楽院に留学していただけあってオール・ロシアン・プログラム。小生の好きなリャードフが面白かったけどムソルグスキーの『展覧会の絵』は見事。しかしアンコールの『ノクターン』を聴くとホンマはショパンのほうが得意かな…と思う。地元でのコンサートで「親子室」付の会場だったためか次女も含めて赤ん坊連れの客が多かったのが微笑ましかった。こういうコンサートも絶対アリやな。CアーツのS社長に教えたろ(笑)。午後頭をマーラーに戻す作業進まず。東芝EMIから生誕125周年記念企画のフルトヴェングラーのCD『フィデリオ』『ワルキューレ』『トリスタン』が送られてきたので聴いてしまったせいか。SACD(ハイブリッド)盤用リマスタリングでCDプレイヤーで聴いても音がメチャメチャ良くなってる。マア音質よりまず演奏が凄いのですけどね。歌手も!(特に小生の大好きなバス歌手ゴットローブ・フリックのフンディンクの凄いこと!)とはいえSACDプレイヤーもほしなったなぁ。晩飯ドキュメンタリー劇場は録画してたNHK-BS長友佑都イタリアを翔る。なるほど実力も人気も要は性格の問題ですね。こういう文字を長く書くということは文字を書く仕事が上手くいってない証拠やね。トホホ(涙)。
6月14日(火) 朝からいろいろ仕事。合間に高橋秀実『からくり民主主義』読了。一昨日は「怒りのないノンフィクション」と書いたけど「単純に怒ることのできない複雑な現実をきちんと見据えたノンフィクション」と言い直した方が良い秀逸な一冊…ではあるけどかつての「団塊の世代系単純に怒るノンフィクション」と違うてマスメディアは取りあげにくいやろなぁ。うむ。マスメディアのほうが見方を変えなければ…。ふ〜ん。そうか。ecologyは因果応報の英訳か。なるほど。昨日素晴らしい映画『ずっとあなたを愛してる』のフランス語原題「Il y a longtemps Je t'aime」の直訳を「それは私が貴方を愛する長い時間」と書いたらフランス語に詳しい(と思われる)人物から次のようなメールをいただいた。《(訳は)「昔から私はあなたを愛してる」のほうがより正確です。Il y a lontempsは昔話の冒頭に使われる「昔々」のことです。さらにいえば、Il y aは、時間の表現を続ければ「~前」を意味する前置詞句のようなものですので、Je t’aimeという現在時制の文の中で使われているIl y a longtempsは、昔から、というくらいにするのがよいと思います》なるほど。YTさん。御指摘ありがとうございます。なにしろ大学で蓮見重彦のフランス語授業に一度出ただけの小生の知ったかぶり逐語訳…とはいえOnce upon a timeともEs war einmalとも異なる仏語独自の表現を読者にわかっていただくためには…とすぐにいいわけを思いつくのがモノカキの悪い癖…(汗)。こーゆー指摘を受ける度に勉強をやり直さなければ…と常々思い続けてきた大学中退生ももうすぐ還暦。よし。来年あたり復学するか。あ。俺。学生やなくて教授やったんや(笑)。と思ううちに晩飯映画劇場はジャイケル・マクソンの…いやマイケル・ジャクソンの『GHOST』。40分弱の長いM-clipかな。ふ〜ん。かつての俗界の寵児が成金をふんだんに使った今様国際的歌舞音曲。いや既に古様となったか?主役と脇役が常に同じ振付なのが残念…というのは年寄りの感想?
6月13日(月) サア頭の中をマーラーに戻し始める。昨年末から『マーラーの交響曲』の原稿を書き始めて年表・家系人脈図・まえがきと仕上げて交響曲の「1番巨人」から「5番」まで書きあげ「6番」を書いている途中で大相撲八百長メール事件勃発。それで大忙しになりTV出演や飛鳥新社の緊急単行本出版『大相撲八百長批判を嗤う』が重なったところで東日本大震災と福島原発事故が勃発。テンヤワンヤのうちに単行本出版の目処を付けて佐渡裕サンのベルリンフィル・デビューでドイツ行き。帰国して単行本出版。そしてようやく振り出しに戻るようにしてマーラーに戻る…。まだ被災地へ足を運ぶ…という仕事が残ってるけど阪神淡路の時と違って親戚知人がほとんどいないのでそれはマーラーの合間に近々…しかし頭の中がナカナカ戻らんなぁ…と思いながら朝から机に齧り付いてる自分に気付き夕方のなって運動不足解消の散歩がてらに『鮨処もり山』さんへ。メシは食わずに本を届けただけで出かけていた次女と餓鬼を迎えて帰宅。晩飯映画劇場は『ずっとあなたを愛してる』。これは最高に素晴らしい映画でした。じつに素晴らしい!物語も脚本も映像も構成も役者の演技も…すべて見事!日本語タイトルからは想像できないストーリー。息子を殺して15年の刑期を終えて出所した姉と彼女を迎える妹とその家族の物語。フランス語原題は「Il y a longtemps Je t'aime」(直訳は「それは私が貴方を愛する長い時間」)。素晴らしい作品(アート&パフォーマンス)は見る人を黙らせる。それは映画も絵画も音楽もスポーツも同じ。この映画には観客を黙らせる力があった。武満徹の『音、沈黙と測りあえるほどに』とはそういう意味でもあったのか。
6月12日(日) 朝『題名のない音楽会』で佐渡裕サン@ベルリン。武満徹From me flows what you call timeを聴き直す。そうやんなあ。この音楽はどことなくジョン・ウィリアムスの『未知との遭遇』の五つの音とも似てるのんやねん。しかしジョン・ウィリアムスのは大名曲です。武満の音楽もハーモニーとか非常に美しい名曲やとは思うけどサテこの曲を進んで自分から聴きたいかどうかというと…。そのあたりが現代音楽の問題点かなぁ。次女に言わすと「ただの効果音の連続」。うん。何の効果を出してるのか…考えてみる価値あるな。散歩と読書。日曜日らしい一日。高橋秀実『からくり民主主義』。『おすもうさん』が見事に面白かったので同じ作家の作品を読み出す。これも確かに面白いノンフィクション。しかし前の世代の作品とは明らかに異なる。怒りのないノンフィクションとでも言うか…。そういえば解説を書いてる村上春樹も怒らない小説家と言えるかもしれない。スマートに嘆く。泥臭さは流行らないのかも。しかし本質は衝いてる。悪くないけど隔靴掻痒。夕方から大船に出てNHKの某番組担当者と打合せ。統一球と引き分け制度を中心に久しぶりにプロ野球のことを思い切り喋らせていただく。サテ番組として成立するかどうか…。日本の野球をきちんと語るとどうしても讀賣朝日NHK批判になりますからね。そこまで踏み込まなくても面白い番組になるとは思うけど…。晩飯映画劇場は『TRICK霊能者バトルロイヤル』…あまりのつまらなさにウンザリ。何でこんな映画が流行るのかなあ。ホンマに流行ったのかなあ…。