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公共CM、過去と現在…インパクト強く波紋

産経新聞 6月23日(木)15時19分配信

 メッセージ性の高いCMを多く世に送り出してきたACジャパン(旧公共広告機構)。東日本大震災後にはとりわけ注目度が高まったが、視聴者の印象に残ると同時に反発も招き、メッセージCMの“難しさ”が浮き彫りになった。今回の問題点を振り返るとともに、過去に海外などで高い評価を受けたACのCM作品を紹介する。(岡本耕治)

 CM総合研究所によれば、震災直後はスポンサー企業の自粛で「あいさつの魔法。」「こだまでしょうか」などのACの公共広告がCMの8割を占めた。これらは3月後期のCM好感度ランキングで1位となったが、同時に「しつこい」「今の時期に不謹慎」といった苦情も殺到した。

 急遽(きゅうきょ)、タレントらが節電や買い占め防止を呼びかける新CMも制作したが、今度は「経済を縮小させる」「タレントの売名行為」などと再び批判を受け、放送は短期間にとどまった。

 「こうあるべき、こうしてください、と言い切ったことへの反作用があった」とACの草川衛専務理事。「公共広告は本来、社会問題について一緒に考えてみませんか、という控えめなスタンスで、大量放送も想定していなかった。発信するメッセージの質が違っていた」と振り返る。

 震災後という特殊な状況下での大量放送ということもあって、良くも悪くも注目を集めたかたちになったが、過去に話題になったCMの中には、海外でも高評価を受けた秀作も多くあった。

 ■「人影なし(軍艦島)」(昭和57年)

 「島は宝島だった」というナレーションとともに、うち捨てられた軍艦島(長崎県・端島(はしま))が映される。「石炭が見つかり、人々が集まった」「4千人もの暮らしがあった」と、かつての活況が語られるが、画面に映るのは、無人の学校や荒れ果てた団地など荒涼たる風景ばかり。

 そして、「資源とともに、島は死んだ」「私たちも資源のない島、日本に生きている」と、軍艦島が日本の縮図であることを示唆して終わる。資源の有効活用を強烈なインパクトで提示した秀作。ACC(日本シーエム制作連盟)CMフェスティバル秀作賞。

 ■「家庭排水・人魚」(平成4年)

 「今、海をいちばん汚しているのは、家庭からの排水です」というナレーションとともに、鍋から茶色く汚れた水が流し台に流れ落ちる。一瞬の無音とともに画面は変わり、金髪の美少女の人魚が登場。頭上から先ほどの汚水が轟音(ごうおん)とともに降り注ぐ。人魚は汚れにまみれて泣きじゃくる。

 「台所から海を汚せるなら、台所から海を助けることもできるはずです」とナレーション。

 ACC賞、カンヌ国際広告映画祭ファイナリスト。

 ■「消える砂の像」(平成15年)

 海岸に作られた寄り添う砂製の親子像。「温暖化の影響で、日本の砂浜の8割が消えると言われている」とテロップ。波が徐々に満ち、親子像がゆっくりと崩れ落ちる。一拍おいて「消えるのは、砂浜だけじゃない」とテロップが浮かぶ。

 米IBA最高賞、ロンドン国際広告デザイン賞ファイナリスト、ACCファイナリスト。

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最終更新:6月23日(木)15時28分

産経新聞

 

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