韓国の政府債務、2050年にギリシャより悪化
韓国が現在の福祉水準や租税負担率を維持した場合、高齢化の進行による福祉支出の増加で、政府債務比率(政府債務残高の対国内総生産(GDP)比(昨年は33.5%)が2050年には168.6%に達するとの試算が示された。これは現在財政危機に直面しているギリシャ(157.1%)を上回る値だ。
企画財政部(省に相当)と韓国開発研究院(KDI)による「国家財政運用計画」の長期財政分野作業班は22日、2050年時点で政府債務比率を60%に抑えるためには、租税負担率を現在の19.7%から25.2%に引き上げる必要があると指摘した。政府債務比率を現在並みの30%のままで維持するためには、26.8%の租税負担率が必要となる。作業班は「今後福祉制度が拡大されたり、新たな福祉制度が導入されたりすれば、政府債務比率はさらに高まり、債務比率を引き下げるために租税負担が増えることになる」と指摘した。
また、同計画の教育分野作業班は、韓国の大学授業料(2006年現在)が国公立大で年間4717ドル(約37万9000円)、私立大で8519ドル(約68万4000円)で、日本やオーストラリアを上回り、比較が可能な経済協力開発機構(OECD)加盟11カ国で2番目の高さだと分析した。その上で「教育機会のバランスを改善するため、授業料負担を軽減する必要がある」と指摘した。
しかし、最近の「授業料半額化」論争については「授業料問題は大学の財務状況、財源調達の可能性や方式、国民的合意が重要であり、慎重に検討すべきだ」との立場を示した。
長期財政分野作業班も「授業料半額化など長期的な財政負担を招く政策を決定するに当たっては、長期財政見通しに基づく検討が必要だ」とした。
朴宰完(パク・ジェワン)企画財政部長官は「来年の二大選挙を控え、福祉中心の財政支出を求める声が高まり、財政の健全性管理が難しくなるのではないかと懸念している。中南米、南欧、日本などは、政治的ポピュリズムからばらまき財政支出を拡大した結果、財政赤字と政府債務が急増し、財政危機に直面した。韓国はその轍(てつ)を踏まないよう警戒を怠ってはならない」と訴えた。
方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者