東日本大震災 津波被害を受けた宮城県の「猫の島」、猫の手を借りて支援金を募る
東日本大震災の際、津波の被害を受けた「ひょっこりひょうたん島」のモデルともいわれている宮城県の田代島では、あちらこちらで野良猫の姿が見られる。
人口よりも猫が多く、「猫の島」と呼ばれる宮城県の田代島は、津波で甚大な被害を受けた。
いまだ、がれきが多く残る島の路上では、日なたぼっこをしたり、じゃれあう猫の姿が見られる。
この猫たちが、この島を救おうとしていた。
人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルともいわれる田代島の人口はおよそ100人。
65歳以上の高齢者が8割を占めるいわゆる限界集落で、主な産業はカキの養殖を中心とする漁業となっている。
しかし、この島にも津波が押し寄せ、島民1人が行方不明になったほか、家を失った10人ほどが島を離れた。
そして、島のカキの養殖施設は全滅し、ほとんどが漁業に携わっていた島民が生活の糧を失った。
漁師は「始まってから、3年たたないと収入があがらないから。その間、海草を採ったりするけど、この津波で磯から何からみんなやられたから」と話した。
養殖などの設備を直すには、最低でも1億円が必要とみられるが、高齢者が8割を占める島民にその負担は大きすぎる。
そんな島を救うために白羽の矢が立ったのが、島民の数より多いおよそ110匹の猫だった。
濱 温さんは「みんなで話して、シンプルに行こうと。彼らの手を借りて、復興したいと。彼らの力がほしいと」と話した。
5年前に脱サラし、田代島で民宿を始めた濱さん。
震災前は猫の写真コンテストなどを立ち上げ、猫目当ての観光客を呼び寄せるなど、島の観光に貢献してきた濱さんは、今回の復興にも猫の手を借りようとしている。
田代島の「にゃんこ・ザ・プロジェクト」は、1口 = 1万円で広く支援金を募り、協力者には復興後に島で水揚げされたカキ1kgに、ポーチなどのオリジナル猫グッズをつけるという。
濱さんは「田代の猫たちっていうのは、田代島にとって、本当に昔から守り神だったっていうことを、今あらためて実感しています」と話した。
「にゃんこ・ザ・プロジェクト」が目標としているのは、1億5,000万円の支援金で、6月11日から始め、21日まででおよそ3,300万円の支援があったという。
漁の守り神として、古くから神社で猫をまつり、大切にしてきた田代島の人々は、猫と共に復興を目指す。
(06/22 19:02 仙台放送)